マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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和田町天神社風の祈祷

2012年10月14日 06時38分38秒 | 奈良市(東部)へ
14時からは村の寄合をしている奈良市和田町の集会所。

25軒の人たちが集まった。

来月に行われるイセキで食するパック料理の数を確認するなど村の議事を進行する。

会式が訛ってイセキと呼ばれる行事に盆踊りがつきものだった。

その多くは東山中の村々で行われていたと各地で聞く。

エシキ(会式)がイシキ(稀にそう呼ぶ地域もある)となって、やがてイセキと訛った。

と、考えられるが、いつしか村中の人たちが楽しみにしていた盆踊りは各地から消えていった。

それはともかく、諸行事日程の議事を終えた村人たちは会所を出る。

これから始まるのは天神社の風の祈祷だ。



お参りする前に裸足になった村人たち。

手水で洗い清めて境内にあがっていく。

境内中央にサカキを立てている。

そこを中心に本殿まで歩く村人たち。

本殿に手を合わせてくるりと向きをかえる。

そうして時計回りにぐるぐる、ぐるぐる回る。



社務所にある太鼓を長老が打ってドン、ドン、ドン・・ドン、ドン、ドン・・。

打ち終えるまでサカキ周りを黙々と裸足姿でぐるぐる、ぐるぐる回る。

その間およそ10分。

裸足で歩くだけにゆっくりと歩む。



太鼓の音が鳴りやむまで続けられる作法は風の祈祷。

村の豊作を祈願するとともに村人にご利益を授けてくれるそうだ。

かつては「デーン デーン デーン(田原の里の史料によればデーンデーンデンデコデン)」と云いながら太鼓の音に合わせながら周回していたと、後日に訪れたときにN氏が話していた。

稲の収穫前、台風がやって来ないよう、大風で農作物が被害に遭わないように祈る風の祈祷を行っている地域が県内東部山間に点在する。

和田町と同じように境内を回る作法を行っている奈良市長谷町の日吉神社上深川の八柱神社別所町のカイトノモリ・金刀比羅神社、山添村切幡の神明神社がある。

また、ローソクを百灯明のように火を灯す作法もある。

風に煽られて火が消えれば再び点ける。

消える、点けるの繰り返し作法が見られるのは天理市苣原町の惣社九頭神社下仁興の九頭神社・上仁興の四社神社、藤井町の三十八神社、福住町の闘鶏氷室神社、桜井市の修理枝(しゅりえだ)の八王子神社瀧倉の瀧ノ蔵神社である。

他にも清流の川原から持ってきた小石を神社に並べるオコリトリの作法もある。

各地域で行われている風の祈祷のあり方は様々である。

(H24. 8.12 EOS40D撮影)