マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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野遊び③正暦寺近辺の下見

2014年12月15日 07時18分27秒 | 自然観察会
翌月の8日に観察する地は奈良市菩提山町。正暦寺近辺の自然を巡る。

当日の観察会に備えて予め自然の状況を確かめる。

動植物にはどのようなものが生息、或いは植生を知る下見会である。

駐車場には大量に発生したテングチョウが乱舞している。

ぱっと飛び去るが、再び舞い戻る2カ所。

1カ所では100匹もいるのではと数えるgucchi先生。お久しぶりの登場だ。

その様相は橿原神宮でも同じようだと話す。今年は当たり年だと云う。

菩提山町に囀るウグイス、シジュウカラ、イカル。

ホオジロの声も聞こえてくる。



付近を散策すれば、テングチョウのサナギが見つかった。

樹木はアラカシだ。

テングチョウはエノキの葉を食べる。

食べられたあとに、若い芽が育ってきた。

傍には食べた主がいた。



テングチョウの幼虫はムシャムシャと食べていた。

食べて、どれぐらいの期間でサナギになるのか・・・。



遠くに見えるエノキ類の大木。

葉っぱは見事にない。

どれほどのテングチョウがいたのであろうか。

少し登っていった処に民家がある。

家には名も知らない幼虫が住んでいると話す婦人の話しに釣られて伺った。



そこにいたミドリヒョウモンの幼虫は割合、大き目だ。

ミドリヒョウモンはツマグロヒョウモンと同じようにスミレやパンジーの葉を食べる。

成虫になったミドリヒョウモンの姿は美しい。

大阪のおばちゃんが着こなすヒョウモン柄よりも・・と思っている。



紹介してくださった民家の玄関上に飾ってあったモノは正暦寺で授かった御幣だ。

正月三日から五日間にかけて初祈祷をされる修正会がある。

五日の結願が終わればお寺に出向いて貰いにいくそうだ。

御幣はこのように飾って家を一年間守ってくれた御幣は小正月の1月15日にとんどで燃やす。

菩提山町のとんどは家を出た辻で行われる。

「めんめんこう」の各家ごとにすると云うが、川を渡ってはいけないというしきたりがあるそうだ。

とんど火が下火になれば、12月30日に搗いた正月のモチを焼く。

コゴメを入れたドヤモチがいちばん美味しいと同家の婦人が話す。

観察会で出合った民家のおかげで正暦寺の行事を知った。

ありがたいことである。



ニワフジも奇麗な花を咲かせていたその場を離れてもう少し上を登っていく。

サンショウクイが飛んでいった。

一瞬だっただけに見逃した。



畑の横に咲いていたヤワゲフウロ。

大阪富田林にあった牛糞に紛れてやってきた外国産。

いつしか広範囲に広がったそうだ。

ホトトギスも鳴いていたこの辺りは野の鳥が多い。



いつも拝見するイチヤクソウが花芽をつけていた。

一週間も経てば開花するであろう。



傍にはやや朽ちかけたギンリョウソウもあった。

6月ともなれば溶けているだろう。

もう少し登れば田植えを済ませた水田が広がる。



そこにいた交尾中のホソミオツネントンボ。

愛のハートマークになっていた。



次に発見したのはシュレーゲルアオガエルの卵塊だ。

泡のように見える卵塊には200個以上もあるそうだ。

カワラヒワ、コゲラ、オオルリの鳴き声も聞こえた。

しばらくすれば奇麗な文様の餓が飛んできた。



キンモンガの文様はタイガース紋。

稀に白色のキンモンガもいるらしいが、文様に違いがある。

付近にはエゴノキが咲いていた。



垂れ下がるエゴノキの白い花。

で、あればオトシブミもあるはずだと探してみたら、たくさんあった。



この映像では左下に見える。

オトシブミの種類はエゴノキの葉が主食のエゴツルクビオトシブミ。

葉っぱを喰い尽くすところまではいかない。



白いふわふわした花はガマズミの花。

モアレがかかったような感じだ。

さらに上流を遡る。

水田を抜ければ森林浴。



森のなかにぽつんとあった一本のササユリは希少種。

大切なササユリはそっとしておこう。



湿った土地に生息するコバノギボウシ。



そこら辺りには矢田山で拝見したミヤマシラスゲもあった。



樹木の葉っぱにとまっていたのは旧名ニシカワトンボの交尾。

今ではニシカワトンボの名ではなくニホンカワトンボ。

近縁種にアサヒナカワトンボがあるが、見分けは難しい。



画像をアップすればはっきり判る。

ホソミオツネントンボと同様にハートマークの形になって交尾していた。



カンアオイの葉っぱが好きだ。



葉をそっとどけると下にあった花とも思えない姿の花弁。

もしかと思って探してみたが、ギフチョウはいなかった。



渓流のシダの葉にもいた交尾中のニホンカワトンボも撮った。



湿った地に多く咲いていたミズタビラコだ。



これもササユリと思ったが、葉っぱの幅が広いので違うのだろう。



モジャモジャの花をいっぱいつけたヤマハゼである。

ウルシ科ウルシ属の植物なのでかぶれる可能性があるが、ハゼウルシとの違いが判らない。



エジプト色柄にように見えたキマダラツバメエダシャク。



そっと逃がしてあげても戻ってきた。

頭から見れば「コワーイ」顔なのだ。



長閑な水田にあった巨樹はサクラ。

来年の春こそ拝見したいものだ。



その水田にあったトノサマガエルの卵塊。

戻る途中にあった樹木にできたて作りたてのゲラの巣穴があった。



コゲラ、アカゲラ、アオゲラ・・・何だろうか。



キマダラヒカゲが立ち止まった。



クロヒカゲも立ち止まった。



キンイロジョウカイも立ち止まった。

ここら辺りはいろんな昆虫が飛んでくる。

午後からは用事があるやまちゃん先生は帰路についた。

その後の下見はもう一カ所。

北側の地である。お寺に向かう参道は砂利の地道。



ここにもいっぱいいたテングチョウの群れ。

近くまで寄るとぱっと飛び舞う。

しばらく歩けば入場禁ずの地がある。



その場に咲いていたのはオカタツナミソウ。



草むらの中に咲いていた。

よく見ればあちこちに咲いている。

ここら辺りで約束の時間が迫ったgucchi先生と別れたうめちゃん先生、hanasukiさんと私の3人は下見の続行である。



シダの葉にとまったのはカワトンボの♀であろうか。

山から流れでる水が溢れて山道はびしょびしょである。

水気が多い処である。

そこにあったタチクラマゴケ。



上から撮ってもタチクラマゴケ。



横から撮ってもタチクラマゴケは地面を這うように広がる。

山林に広がるシダ類の植生。



朽ちた橋は数年前にみたときよりもさらに侵食していた。

キビタキやジュウイチの鳴き声が聞こえた。

これ以上、上流を目指しても変わらない景色。

植生に変化は見られない。

ここよりも午前中に下見した地の方が良かろうと判断して下った。



葉っぱにとまったクロナガカワゲラ。

成虫になれば後ろの尻尾は消えるのであろうか。

それとも写ることのできない細いものだったのか。

もしかとすればオナシカワゲラが正解かもしれない。

いずれにしても川の水質が奇麗だということだ。



陽があたる地点に来れば、テングチョウに混ざってヒラヒラ。

久しぶりに拝見したイシガケチョウだ。



あっちへ飛び、こっちへと飛んでいたが、足元まで寄ってくれた。



ユキノシタの群生もある。



遠目に咲いていたオカタツナミソウもアップしておいた。

正暦寺には幹廻りが太いサルスベリがある。



紅い夏の花はまだまだだが、ツルツルの木肌になにやら立っている仏さんがいる。



というように見えたが、違った。

木のコブだった。



石垣にはヒトツバが垂れていた。



これはシオヤトンボの♀であろうか。

シャッターを押した瞬間に飛んでいった。



トイレ前に咲いていたヤマボウシ。

傍にあった蕾はなんでしょう。



夏椿のシャラの木と思われる。

一週間後には白い花が見られるかもしれないが・・・。

(H26. 5.29 EOS40D撮影)