先日御紹介した「アニマルスピリット」に 「成功事業の原動力は未来を創り出す興奮」で「経済全体に必要なのは成功事業」とあったが、バブル崩壊(92年)以降、「成功」より「守り」になりつつある。地価は、期待成長率でバブルまで一貫して上昇したが、成長期待の崩壊が地価の下落となり、地価の下落は貯蓄性向の下落(土地を買うためのローンは貯蓄(投資)にもあたる、なお毎年、経済地代分の消費にカウントされる)ともなる。(要はローンであろうと、貯蓄で一括支払いであろうと、お金を貯めないと土地は買えない)土地を媒体とした資金の流れがあったが、これが途絶えた。<o:p></o:p>
成長神話と土地神話が崩れたあと、「失われた10年」となったが、成長産業への転換より、大会社がいかに新分野を開拓し変化するかだったが、改革でなくて改良となった。つまりは、収入増大より費用圧縮に向かった。これが管理の時代で「成功事業」の「興奮」がない。企業がコストカット(交際費、交通費、広告費)、オフィスのファシリティマネージメント、組織・体系のオーガニゼイショナル・マネージメントなどスリム化を目指した。その波及効果で経済全体の消費が縮小した。そして「閉塞感」と「ストレス」が溜まった。<o:p></o:p>
創造的な専門研究による新しい起業や新業種の開拓が社会のエンジンとなる。アメリカではハイテクの起業は成功している。しかし、古い製造業や金融工学はその限りではない。(金融は短期利益、ゼロサムでホワイトカラー雇用になるが爆弾にもなるのは今回の金融破綻で証明された)つまりは、集中から再構築に向かうのが方向性だ。<o:p></o:p>
都市計画も変わった。開発すれば良いというサプラ・イサイドから、あるものを活用し、住みよく、コミュニティをとりまとめるデマンド・サイドに転換した。また減災、環境、社会資本投資など都市基盤のマクロに目が向いている。<o:p></o:p>
物販、飲食も大型店、チェーン店、車利用から駅近くの街中の個人経営店が見直されている。街には専門大店があり、両極化している。かつての大型複合商業開発(デパート2つとショッピングセンター 等)は流行らず、画一的な郊外ショッピングセンター、都心部複合再開発があるくらいだ。<o:p></o:p>
やはり、都市に「興奮」は必要だ。そのためには今までの建築と単位としたサプライサイドから、利用者の側に立ったデマンドサイドのニーズ、マーケティングというマイクロな人間の側面の研究と街づくり、景観というマクロな側面の両方が必要だ。都市計画と建築の教育ににマーケティング等ビジネスの科目を入れ、街の運営、都市経営という経済も学ぶ必要があろう。<o:p></o:p>
その上で、起業を育てる「都心の大学とR&D」施設などを経済政策として採り上げて頂きたい。新しい事業の発想、育成は都市が育てる。クラスター理論がすでに証明している。<o:p></o:p>
(それにしてもWTCに拘る大阪府はどういうことか訝る)<o:p></o:p>