都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

無理なトップの指示と真面目な社員が経営の陥穽となる

2016-05-15 04:42:20 | マクロ経済

 東芝の決算粉飾で、真面目そうな社員とお堅い社風、無理な目標「チャレンジ」が安易な粉飾の継承に至ったのは日本的だ。オリンパスの粉飾隠しも記憶に新しい。

 今度は、三菱自動車が2回のリコール隠しにかかわらず、燃費偽装という。しかも25年前からという承継、社長でも詳細が分からないという体制、コンプライアンス遵守が掛け声倒れで形式のみというのが奇妙な経営と体制と思う。似ているのは偽装がこれも続いた東洋ゴムがある。フォルクスワーゲンの驚愕のコンピューター・ソフト組込という確信犯もあるが、何度も繰り返し歴史がある三菱自動車は特殊な企業としか言えない。

 対応不能な成果達成を要求する経営者と、従順で真面目な社員の組み合わせが、製品や決算の偽装を生んでいる。社内的には指示に従い頑張るが、方策がなく不正に走るという構造だ。外部的には欠陥商品でGDPのマイナスになる。経営者は無理を強いると社員が企業内のマイクロ経済優先となり長期的には企業と経済の衰退につながるのが分からないのだろうか。また、社員も短期の結果を求め、異動までと割り切り、会社評価におもねっていないだろうか。

 我が国が誇った、モノづくりに携わる社員の矜持や経営者の規範は過去のものなのだろうか。社会規範よりも社内規範が優先するのは、「就職」でなくて「就社」だ。

 逆らわず、企業に従えば安心と出世がついてくる時代ではない。個人の職業と矜持を取り戻し企業は取締役の役割と責任の見直しの時期だ。能力の流動化と企業内部貢献による昇進システムの見直しがないと同じ事が起きる。

 「就社」の骨格となる高度成長時代発祥の終身雇用制と新卒4月採用の限界だ。大学も職能や技能など社会で実用になるプログラムが求められる。変化の時期と感じる。

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