都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

行動経済学の逆襲 (リチャード・セイラー):大御所が語る歴史

2016-12-05 04:12:11 | マクロ経済

 行動経済学の泰斗。基礎知識がないと理解できない内容で、歴史を説く。架空の合理的なホモ・エコノミカスを前提とした経済学と合理的期待(Rational Expectation)への疑問から。( https://en.wikipedia.org/wiki/Behavioral_economics )

 知見は:

・SIF(Supposedly Irrelevant Factor)無関係とされている要因だが、意思決定に関連(Sunk Costの錯誤など)を分析する

・ウェーバー=フェヒナーの法則:JND(Just-Noticeable Difference)変数の変化度合で気づくしくみ

 例:両側のヘッドライトが切れて気が付くのは、同時ではなく最後に切れると真っ暗になり変化が大きいから。お得感は価格の%で判断する(半額だと安くてもつられるのと同じ、1円セールもか)

・ホテルのビールは商店より高くても納得

・使い倒すと満足する、使わないと損した感じ、支払った事実は変わらないのに

・住宅ローンのサブ・プライムなど、世間動向でメンタル・アカウンティング(会計的な倫理や常識の変化)は支配

・損失挽回のブレーク・イーブン効果と保有を大切にするハウス・マネー効果の両方ある

・フランコ・モジリアー二のライフサイクル仮説:所得から生涯の富にシフト→心理学者は信用しなかった

・コミットメント戦略:自滅しないよう選択を制限→貯金やダイエットなどメンタル・アカウンティング

・アマルティア・セン:公共財ゲームにおいて利己主義は「合理的愚か者」、「タダ乗りするのは経済学者だけ」→経済的に合理的が社会的に合理的ではない

・株式プレミアムは6%でなく0.35%→近視眼的か巨視的か、割安か割高は成長への期待か、平均回帰「根拠なき熱狂」や「悪循環と予測からの乖離で価格は変調」、プラス・マイナス2倍範囲に収まると効率的市場は正しいか→短期的には差がないが、長期的に暴投・暴落で差が出るのでは、株は下がっても儲けがある

・リバタリアン・パターナリズム→Nudge (ちょっと後押し):方向を考えている人にちょっと知恵を授ける

Nudge は 実践行動経済学(リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン) に詳しい

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする