教育経済学とは初めて知った。公共経済学のひとつだろう。分かりやすい書き方はコロンビア大学のPh.D.らしい。またPublish or Perish というスタンスもアメリカ型で、書かない(書けない、または書く暇もない)日本の教授たちとは違う。知見は:
・原因と結果をはっきりさせる
・教育生産関数でアウトプット(成績)、インプット(学習過程で成し遂げたこと)、インプット重視が学力を上げる
・「勉強の仕方」を勉強するのが重要
・ほめ育てはナルシストを育てる、しかし自尊心を持つのは大切→自尊心と思いやる心のバランス
・能力より努力を褒める
・学力の高い友達の中にいると、自分の学力にもプラス
・教育投資は7~10%の利回り→大学への投資は15%の利回りという研究もある
・非認知スキル(忍耐力、社会性、やる気、自制心など)が学力にあわせ重要、人生の成功につながり、教育やトレーニングで伸ばせる
・自制心とやり抜く力が大事
・日本の政府教育支出は15年で20%減少、先進国の70%の水準
・学校別の成績比較は意味がない、生徒の属性(収入、塾、家庭の資源を盛り込む)
・平等主義の行き過ぎは、生徒の格差が拡大:ゆとり教育、親の学歴や所得での教育格差を拡大
・手をつないでゴールは他人を思いやる心に欠ける大人を作る、格差がないとういう前提が非現実的
・ゆとり教育は世代間の教育格差を生んだ
・いい先生と出会うと人生が変わる、いい先生とは学力を向上させる技能がある、この技能に応じて給与配分ができると良いが難しい
・試験前に「祖母が亡くなり出席できない」のは成績が悪い生徒に多く、慶応でも「異常なまで高い」と説明すると以降現れない
・東大に息子全員合格させた老婆の体験記を読むのは、病気にかかって長生きの老人に長寿の秘訣を聞くようなものだ(西内啓)
分かりやすく痛快、お薦め