蒸し暑い毎日が続きまた敗戦の月8月がやってきた。
先日友達が日露戦争の写真集があるからと貸してくれた。
母方の祖父が従軍した話を聞いていたので興味を持っていたが上海事変の写真集だった。
上海事変ならもっと興味がある。
母の兄である私の叔父が19歳で戦死している。
豪華な表紙をめくるとびっしりと書かれた便箋が挟まれていた。
当時のもののようだ。
傷痍軍人が汽車の中で語った戦談を書いているがチャンコロを銃剣で突き殺したとか表紙の物々しさも含め本のかもし出すムードがもう戦時中を感じさせる。
ポツダム上等兵である父の戦談では壁の上から飛び降りた中国兵が足を折り逃げられないのを銃剣で突き刺そうとしたが”アイヤー”と手をかざされ突き刺せなかった話をよくしていたのを思い出した。
人はなかなか突き刺せないと言っていた。
写真のページの間には白紙のページがあり写真自体に動きがなくひげを蓄えた軍人の写真が多くものものしい戦時中の雰囲気は十分伝わる。
戦死者指名が描かれた黒いページでは叔父の名前を探したが記載されてなかった。
発行日を見ると昭和7年になっている。
昭和7年だと叔父はまだ19歳になってない。
叔父が戦死したのは5年後に起きた第2次上海事変だったようだ。
祖父母もちろん兄弟は母以外はみんな亡くなっている。
思わぬことから19歳で戦死した会ったこともない叔父のことを思うことになった。