年中の★ちゃん、年長の☆ちゃん、●ちゃん、○ちゃんのレッスンの様子です。
「今日、何をしてみたいのか」を話し合う時間に、★ちゃんが
棚に飾ってある船を降ろしてもらいたがりました。
「船を浮かべる海や宝島を作って遊ぶ?」とたずねると、
みんな大乗り気で賛成しました。
青い布の上に船といっしょに魚やシャチのおもちゃを飾ってから、
ペンギンの人形をどうするかで揉めていました。
「ペンギンは海は海でも、氷のある寒い国の海にいるはず」という子らと
「海ならどこでもいいことにしよう」という子ら。
写真のようなブロックのプレートに北極を作ることで意見がまとまりました。
「わたしね、かまくらを作ったことがあるよ」「氷のお家の中はあったかいんだよ」
といった話で盛り上がっていました。
みんな北極を作ることにとても満足したようで、
それからはブロックのプレートを出して陸を作る度に、
「どの国にするか」という話をしていました。
上の写真はモンゴルだそうです。
「先生、モンゴルにトラはいる?」「モンゴルにはどんな動物がいるの?」と
いう質問があったので、いっしょに図鑑を見ました。
☆ちゃんの幼稚園で、モンゴルのゲルを建ててくれるイベントがあったそうです。
「モンゴルのテントの中はとってもあったかいんだよ。
テントの中でモンゴルの音楽を聞いたよ」と☆ちゃん。
「そういえば、★ちゃんと●ちゃんは、民族学博物館でモンゴルのゲルを見たよね。
覚えてる?」と聞くと、「うん」「うん」とうれしそうにうなずいていました。
年少や年中の子らのグループでこうした遊びをする場合、
「お家」や「プール」「幼稚園」「遊園地」といった
自分が実際に体験したことがあるものをテーマにしています。
でも、年長が主のこのグループでは、自分が行ったことがない国について
想像力を膨らませながら遊んでいました。
同じように動物の人形を扱うのにしても、年少や年中グループでしたら
動物園を作るかペットとして飼うことにしたでしょうが、
年長を主とする子らは、草が生えているところにいる動物、山にいる動物、
北極にいる動物など気候や環境で、暮らしている動物を分類しながら遊んでいました。
その姿を見て、『よみがえれ思考力』の抽象的思考への移行について
説明している文章を思いだしました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆ 抽象的思考への移行
子どもは新しいやり方で考えを組み合わせ始めると、対象のあからさまな
物理的特徴から離れることができるようになり、ピアジェの用語でいう
「具体的操作の段階」に入る。具体的操作期での興味深い特徴は、
子どもたちが「保存」の概念を習得することである。
(省略)
「保存の能力を試すテストは、質量や長さ、面積や質量について
子どもを「騙そう」とひっかける。
(省略)
子どもたちはどのようにしてこの関係を理解する段階へと到達するのであろう。
私は神経の準備性の量が関係していると考える。
しかし、子どもたちには何百という経験や訓練が必要なことも確かである。
(省略)
もう一つの主要な成長の領域は、カテゴリ化、階層化、分類化の能力である。
就学前の子どもに、世界中には動物と犬のどちらが多くいるかとたずねると、
「犬」と答える。それは、その子がより広い動物という分類の中のものとして
犬を見るのではなく、知っている限りの犬という直接の概念に
捕らわれているためである。
その後、七歳くらいになると動物の写真を鳥類、哺乳類、爬虫類といった
カテゴリにうまく分類することができるようになる。
しかし、「もし全ての哺乳類が世界中から絶滅してしまったら哺乳類は
生き残るだろうか」と質問されると答えに躊躇する。
『よみがえれ思考力』ジェーン・ハーリー 大修館書店
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「より大きな抽象的な論題の中に下位の論題が存在する」ことを
理解していく過程は、子どもの遊びの世界に反映されています。
子どもたちがカテゴリ化、階層化、分類化する能力を洗練させていく上で、
親子の会話やさまざまな体験や遊びの重要さを感じています。