赤ちゃんと遊ぶ時は、「この月齢の子にはこういうおもちゃ」とか
「かしこい子に育てるためにこんな遊びをすればいい」といった情報を頼りに相手をするよりも、
赤ちゃんの行動をていねいに観察して、その子が今やりたがっていることや必要としている活動が
十分に行えるようにしてあげるのが一番です。
また、0歳児や1歳児であっても
その子の気質や個性を把握して接すると、
子どもとの遊びがより楽しくなる上、身体も心も健やかに成長していくのを実感しています。
それでは1歳1ヶ月の★くんのレッスンの様子を紹介しますね。
教室に着いた★くんにいくつかのおもちゃを出してあげると、
他の何よりも缶の中にコインを入れることに熱中していました。
まだ何でも口に入れる時期なので
小さなコインで遊ばせるのは危険なのですが、
「ねらいを定めて指でつまむ」のが面白いようなので、
危なくないように注意しながら遊ばせました。
コインを缶の中に落とすと、カランカランといい響きがします。
自分がコインを入れたから音が鳴ってのがよくわかっているようで、
音がすると満面の笑みを浮かべて、お母さんの表情をうかがいます。
それから、缶に手をつっこんでコインをつまみ出すと
お母さんの方の差し出して、キャッキャと声をあげて笑いました。
★くんの今のブームは、
入れ物に何かを出し入れしたり、
お母さんに「はい、どうぞ」と何かを差しだしたりすることのようです。
さまざまなサイズや素材の入れ物で
入れたり出したりする遊びをやらせてあげると喜ぶように思いました。
★くんは大人のすることをよく見ていて、真似ようとします。
缶に蓋をして、貯金箱用の投入口からコインを入れるところを見せると、
自分も同じようにしようとがんばっていました。
どこに入れたらいいのかはよくわかっていますが、入れるのはまだ難しいようです。
お家にデュプロブロックがあるというお話だったので、
お母さんにデュプロで出し入れするおもちゃを作る方法を学んでいただきました。
はずれやすいように緩くブロックをつないでおくと、
はずしては大喜び。
つまむ作業を喜んでいたので、つまみだすのが楽しめるように
空き容器にデュプロを入れてみました。
デュプロがぴったり入る幅のアルミ箔の芯です。
引っかかっていたブロックを押すと、ストンッと落ちるのが
嬉しくてたまらない様子。
袋の中に入れたり出したり。
つまんでひっぱる」のを喜んでいたので、
こんな教具を作ってあげると、喜んで何度も遊んでいました。
危険がないように
もこもこした太いひもを使って作っています。
人さし指を使って、物を操作するのが楽しいようだったので、
スライドさせて遊ぶこんなおもちゃも作ってみました。
★くんは穏やかで人懐っこい気質の子で、
大きく目を見開いた目で、大人の行動をよく観察して、真似るのが上手です。
うまくできると、「見て!見て!」というように相手の表情をうかがったり、
手をパチパチしたりします。
その都度、相手の反応をよくみていて、相手の反応がいいと、ケラケラと笑い声をあげて
喜ぶ人と関わる力の高い子です。
★くんの気質や個性を把握した上で、
関わる際にこんなことを気をつけるといいと感じました。
★くんは、大人の表情を読んだり、共同注視をしたりするのが
上手な子です。
ですから、いっしょに遊ぶ時には、
こちらが感じていることや考えることも伝わるように気を配るといいのかもしれません。
たとえば、お人形にハンカチをかけて「よしよし」と寝かせる真似をしてから、
ハンカチをゆっくりめくって、「ばぁっ」とハンカチの下を見せる時に、
感情を込め、かわいがってあやしている様子を表現したり、
「ばぁっ」とめくる時に、驚いてみせると、
子どもはハンカチをふとん代わりにしていることを理解するし、
めくった後に見えない部分が表われたことに注意を向けます。
赤ちゃんにすると、目に見えない部分は「ない」に等しいようなものでしょうが、
大人が驚きを表現すると、見えない部分の先に何があるのか推理する力が高まってきます。
物を何かに入れてみるのが好きな★くんに、ティッシュの空き箱はピッタリです。
自分で入れやすいし、入れている最中に透明のビニールの部分から中の様子が見えるからです。
写真のように2つ空き箱を用意して、
ひとつにおもちゃを入れた後で、
振って音を確かめて遊ぶと、
物を入れた方と入れなかった方の音の違いに気づくようになるかもしれません。