金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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56:野中ともそ 『カチューシャ』

2006-03-05 11:59:26 | 06 本の感想
野中ともそ『カチューシャ』(理論社)
★★★☆☆

人よりテンポが遅い主人公かじおと、露悪的な美少女カチューシャを中心に、
カチューシャの祖父ショウセイ、義侠心に富んだ不良の香坂などなど、
登場人物が魅力的。
作者のあたたかな視線もいいですね。
学校とか教室というのは高校生にとっては自分の生活の大部分を占める社会で、
その中でどのように生きていくのか、自分のスタイルを貫く主人公たち。
きれいごとに終始せず、きちんと現実の厳しさも織り込んでいるのがいい。
主人公とカチューシャのキャラクターがちょっと不鮮明に感じられたり、
ネタを盛り込みすぎて不消化なところに物足りなさを感じたりもしたのだけど、
このくらいがちょうどいいのかも。
輪からはずれてしまいがちな子の背中をそっと押してくれるような、
やさしいお話でした。

知らない作家さんだったのだけど、おもしろかったので
ほかの作品も読んでみようかな。

コメント
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