金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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映画:『風立ちぬ』

2013-08-31 08:06:16 | 映画の感想
映画『風立ちぬ』(宮崎駿監督)
★★★★☆

関東大震災や戦争が時代設定を表すためだけに
使われているような感じで、
主人公は自分が人を殺すための飛行機を作っていることに対して
懊悩したり戦争に対して自らの考えを口にしたりはしない。
それがオタクっぽくてリアリティがあり、良いと思った。
自分の好きなもの(二郎の場合は飛行機)だけを見ていて、
それ以外のことにはたいして興味がないんだよね。

堀辰雄の『風立ちぬ』の世界と、
零戦の設計者・堀越二郎の人生を下敷きにして
ストーリーが構成されているのだが、
堀辰雄の『風立ちぬ』にはまったく心を動かされなかったからなあ……。
「きれいなところだけ見てもらいたかったのね」
というセリフは泣かせるけれど、
オタク気質にシンパシーを覚えてしまうわたしには
堀辰雄成分(恋愛パート)は控えめにして、
後半も飛行機に焦点をあてていてくれた方が楽しめたかも。
全体のストーリーとか雰囲気はすごく好きなんだけど。

「あそこをもう少しじっくり描いてほしかった!」
という部分が多くて、物足りないまま終わってしまったのだが、
エンドロールでユーミンの歌が流れ出すと
なにやら感慨がわいてくる。
あれは歌の力だな。
あの映画のイメージ形成に、あの主題歌は
かなり大きな役割を果たしているんじゃないだろうか。

禁煙団体が抗議したのが話題になっていた。
確かに喫煙シーンは多いが、ナンセンスだよな。
コメント
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