金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」♯48

2022-12-18 22:54:16 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第48話「報いの時
 
以前からそんな気はしていたけれど、
わたしの中の大河ドラマランキング、
入れ替わっちゃった!
 
「すんごく好きだけど、粗も多い大河」
「ドハマリはしなかったけど、
 よく出来ていて安定して面白い大河」
しかなかったのが、「鎌倉殿の13人」は
両方を兼ね備えた大河だった。
 
前半に尺を取り過ぎて、
最後のほうは絶対尺足りてなかったし、
終盤は結構粗も見えていたんだけど、
こんなにもダレないまま、
最終回まで毎回楽しみだった大河は初めて。
よかったよ~!!
 
正直、最終回はハードルが上がりすぎて不安だったんだけど、
うまい着地のさせ方だったと思う。
小四郎が幸せになったら「いや、それはダメじゃない?」ってなるし、
かといってバッドエンドは後味が悪くて、可哀想だし。
家庭を、妻を、顧みなかった報いを、
のえに毒を飲まされることで受け、
幼なじみの絆と友情に寄りかかって
平六の内面に無頓着でいた報いを
裏切られることで受け、
姉の息子二人を死に追いやった報いを
毒消しを飲むのを邪魔されることで受け、
だけど同時に、「鎌倉のため」に手を汚し続けてきたのを
姉に止めてもらって
「ご苦労様でした」とねぎらわれる。
良い意味でも悪い意味での「報い」を受けた最終回。
「わかりやすい感動」を呼ぶ見せ方ではなかったから
評価は分かれそうだけど、
自ら手を汚すことのなかった政子が
初めて自ら殺した相手が弟だったというの、
わたしは愛だと思ったよ。
決して100%の清らかな愛ではなくて、
息子・頼家を殺されたことに対する恨みも混じった、
それでも弟が自分の欲だけでそうしたわけではないと
理解している姉の愛。
「(泰時が、八重さんよりも)もっと似ている人がいます、
 それはあなた」
という政子の言葉、姉が弟の本質を忘れていない証だったし、
小四郎にとっては救いだったよね。
 
最後、泰時が設置する評定衆の登場をもって
「今度こそ『鎌倉殿の13人』!」って
タイトル回収すると思ってたから、
「頼朝死後に政争で殺されたのが13人」ときて、
鎌倉殿だった頼家を除いて
「13人めはあなたです」
を回収したの、見事すぎたわ……。
 
 
【その他いろいろ】
 
・次の大河への目配せは、これまでの大河にも結構だったけど、
 冒頭で、しかも主役登場でやるとは思わなかったよ!!!
 松潤、あれだけしか出てこなかったのにピンクレ。
 
・のえ役に菊地凛子を配したのも納得の最終回。
 そうだよね、小四郎は最初からのえの表面しか見ていなかった。
 のえさん、初の前では本音をぶっちゃけてたし、
 政子の前でもいろいろ漏れ出してたのだから、
 関心を持っていたら気づかないはずがなかった。
 のえさん、別に小四郎のこと好きじゃなかったと思うけど、
 少なくとも小四郎本人のプライドを傷つけるような振る舞いを
 しないだけの気遣いはあったわけだから、
 兄の死を悼みもしない男に憎しみは募るよ。
 最後、最大の報復として平六との関係をぶっこわしたの、
 最高だったな!!
 
・朝時にじじい呼ばわりされて、
 いまだかつてないキレ方する平六に笑った。
 ドラマの作中世界では、平六もちゃんとじいさんに見えてるんだな。
 
・平六と小四郎の対決、よかった。
 平六がぶちまけた本音、納得の内容なんだけど、
 そういうありきたりな、よくある鬱屈を
 思ってても口にしないところが平六だったから、
 自分が死ぬと思ってぶちまけて、
 小さい男になっちゃうところ、よかった。
 そして、殺す殺されるのやりとりをした直後、
 「ほんとだ、しゃべれる」
 ってギャグにもっていく脚本のバランス感覚、すごいよ。
 (実際は、「三浦のほうが北条よりはるかに格上なのに」が
 不満として一番大きいと思うんだけど、
 ドラマ内では御家人同士の力の差には触れていなかったからね)
 
・「女子は皆、きのこが好き」という謎の小四郎の思い込みが、
 平六の吹き込んだ嘘によるものだと判明。
 お前だったのか!!!!
 小四郎がショック受けてるのも笑えた。
 
・自分で勝手に兄の部屋から持ってきた毒入りの酒を飲んで
 体を張ったギャグをかます時房。
 命がけの愛嬌!
 
・実際、牧の方は時政が死ぬまで側にいたはずだし、
 京で大々的に夫の法要をやってるんだけど、
 時政の側に若くて可愛い女がいたことに
 ムッとするりくさん、
 見えないところで時政の死を悲しむりくさんも、
 これはこれでよし。
 
・トウが救済されていてよかった……。
 暗殺の成功率高くなかったし、裏仕事から手を引けたのなら何より。
 
・老いてもなお黒い大江殿。
 「元気だな~!」ってドラマの中でも言われていた。
 
・胤義、どうなったかも明示されないまま
 フェードアウトするとは思わなかった……。
 平六と何かしらのやりとりがあるものだと思ってた。
 
コメント (2)
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316:凪良ゆう『すみれ荘ファミリア』

2022-12-18 00:42:12 | 22 本の感想
凪良ゆう『すみれ荘ファミリア』
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
愛ゆえに、人は。

『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』本屋大賞受賞
&二年連続ノミネートの著者が描く、家族の物語。

すみれ荘のその後を描く「表面張力」を収録した完全版。

下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、
気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。
そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。
彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。
真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、
周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。
愛は毒か、それとも救いか。
本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
 
****************************************
 
最初、富士見 L 文庫から出ていたのは知っていたので、
ほっこり連作短編集だと思って読み始めてしまった。
とんでもない勘違いだった。
レーベルとミスマッチすぎる!!
 
最初の話から、なんだか嫌な感じがするなぁと思っていたのだが、
不快感はずっと続き、途中から予想を超えた恐ろしいことになっていた。
ほっこりのかけらもない、おどろおどろしい愛憎の物語であった。
 
 後日談の「表面張力」が面白かった。
これくらいの「裏の顔」なら、まだいいよ……。
 
好み度としては★3.5なんだけど、
人気の作家さんだというのも納得の筆力だった。
 

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