金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

64:miNato 『100日後、きみのいない春が来る。』

2024-03-21 12:10:32 | 24 本の感想
miNato 『100日後、きみのいない春が来る。』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
全部きみが生きた証だから――。
迷い泣きながら命と向き合う青春ストーリー

いつも自分を後回しにして、周りに合わせてしまう高校生の風里。
大好きな絵もお母さんの一言でやめてしまったけれど、
久しぶりに話した幼なじみの千冬くんは、風里の絵が好きだと言ってくれた。
「一番は自分がどうしたいか、だろ」。
その言葉をきっかけに、自分と向き合い、封印していた千冬くんへの想いを意識する。
でも実は、彼が発症したら100日後には死んでしまう難病だと知って――。
ラストは号泣の青春純愛ストーリー。
10年後の風里の姿を描く書き下ろしショートストーリー「十年後の桜」を収録。
 
****************************************
 
自分では絶対手に取らない、オーソドックスな
「ヒロイン/ヒーローが死んじゃう系難病もの」。
 
人に嫌われるのを恐れるあまりいい人を演じてしまう主人公の振る舞いの変化、
友人との衝突と関係の修復、母親との関係の修復、
避けていた好きなことに向き合えるようになる変化……と
サブストーリーが幾筋も走っていて、誰にでも書ける話でないのは確か。
 
でも、「100日病」という病名が出てきたときに、
めちゃ笑ってしまった。すまん。
5、6年くらい前に幾度目かのピークが来ていた印象のある難病もの作品群、
病気のヒロイン/ヒーローを、醜くない状態で衰弱させるため、
あるいはドラマチックな展開にするために
架空の病気がいろいろ設定されてきたが 、「100日病」って。
みんな苦労してますなあ。
 
さすがにオーソドックスすぎて心動かされるところはなかったのだけども、
これを最初に難病ものとして読んだ小中学生は、泣いてしまうかもしれない。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:『窓ぎわのトットちゃん』

2024-03-21 11:57:48 | 映画の感想
2024年の映画③『窓ぎわのトットちゃん』(八鍬新之介 監督)
★★★★☆4.5
 
映画館にて。
広く公開されていた時期には全然見る気が起こらなかったのだけども、
友だちの誘いで、遅れて上映しているところへ見に行った。
 
原作は読んだことがあるし、話も知っているのに、
自分でも「なぜこんなに泣く!?」と思うほど泣いてしまった……。
小児麻痺で体が思うように動かないやすあきちゃんが木に登れた!
というだけで泣いちゃうし、大切な人が亡くなる場面では当然泣くし、
明るく将来の夢を語って別れる子どもたちが、
もう二度と同じ学校へ戻ることができないこと、
そのうちの何人かは大人になる前に亡くなってしまうであろうことも
わかって泣いてしまうし、
校長先生から受け取った肯定と愛を、
トットちゃんが幼いきょうだいに分け与えるところで泣いてしまうし。
 
「普通」の枠におさまることができないトットちゃんのような子どもたちが
トモエ学園に行けて居場所を見つけられたのが、
理解ある富裕層の両親のもとに生まれたからだということは、
言葉にしなくてもわりとはっきり描かれていたように思う。
きっぷを受け取っていた駅員さんが途中で男性から女性にかわったのは、
出征することになったからであろうし、
戦争の影響が背景としてあちこちに描かれている。
そういう、言語化はされないけれども気づく人は気づく、
気づけなくてもメインのストーリーはちゃんとわかる、
という作りがとてもよかった。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする