金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

164-165:大竹直子 『阿修羅の契』『裏直家』

2019-10-20 18:49:27 | 19 本の感想
大竹直子『阿修羅の契
大竹直子『裏直家 阿修羅の契外伝~男と男~
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

戦国時代屈指の謀略家で暗殺、裏切り、下剋上
何でもござれの大名・宇喜多直家と、
その重臣・岡剛介(清三郎)の絆を歴史漫画家・大竹直子が描く。
美貌の小姓・清三郎は、主君直家の命を受け、
男色を好む穝所元常の元に送り込まれるが……。
祖父が自害に追い込まれ復讐を誓った幼少期の八郎から、
武勲を立て直家と名乗るようになり、
のちに重臣となる清三郎との出会い、
大竹直子のライフワーク、宇喜多直家シリーズの集大成!

*******************************

漫画。読み放題にて。

浅学にしてBLを嗜んでいないため、
「これ、衆道ものか!」と気づいたときには
読み進めるのを躊躇したのだけども、
絵柄のせいかそこまでの抵抗感はなかった。
(他の作品まで読もうとまでは思えないんだけど……)

まず題材にしているのが
「誰でも知ってます!」という有名人・場所ではない時点で
評価を底上げしちゃうし、
ベテランらしい安定感があった。
絵が端整で美しい。
画面がシンプルでキラキラしてないのに、
とにかくきれいなのよ。

こちらに耐性がないせいで、好み度★は下がっちゃうんだけど、
ストーリーや雰囲気も、作者さんが
本当にこういうのが好きなんだろうな~とわかる突き詰め方。

外伝の『裏直家~』のほうは文字が全部手書きなんだけど、
なんでだろ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

163:堤芳貞 『三日月竜異聞―伊達政宗嚆矢』

2019-10-20 18:25:09 | 19 本の感想
堤芳貞『三日月竜異聞 1―伊達政宗嚆矢 (無頼コミックス)
★★★☆☆2.5

漫画。読み放題にて。

ゲームか何かの二次創作なのかな?? と読んでいる間
思っていた。
キャラデザがそれっぽいというのもあったのだけど、
情報開示の仕方が二次創作っぽかったから。
キャラクターも、キャラ同士の関係性も
「読者が知っていること前提」で話が進み、
掘り下げもなく進んでいってしまう。
あとがきを見る限り、オリジナルっぽいのだけども、
「これは番外編か何かでは?」という感じが
最後まで消えなかった。

絵も上手くて好みだし、おそらく作者さんの中では
ときめきいっぱいのキャラクター設定や関係性があるのだろう。
それをちゃんと読者に見せてくれ~!!

そんなわけで、わけもわからず「ムード」だけで
すべてが進んで終わってしまった感がある。
掘り下げをしっかりしてくれたら面白くなっていたのが
予想できるだけに、残念。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大河ドラマ『いだてん』#39

2019-10-13 20:43:28 | 大河ドラマ「いだてん」
五りんと志ん生のつながりがあきらかになった回。
伏線回収の楽しさもあり、いろんな要素をうまくまとめていて
素晴らしかった。

「いても頼りにならない」
と子供たちに背中を押される形で
慰問のために満州に渡った志ん生。

つらく苦しい戦争パートが長く続くのかと思っていたけど、
舞台が満州に移ったために、
「沖縄の部隊が全滅」
「広島と長崎に原子爆弾が落とされた」
と伝聞の形で伝えられて、あっという間に「玉音放送」に。
軽く扱いすぎて不謹慎にもならず、
かといって深刻にもなりすぎず、
いいバランスだったように思う。

小松くんは脱走兵として生き延びたものの、
家族へのはがきを投函しにいったために
ロシア兵に射殺されるという非業の死を遂げるわけだけど、
ようやく「マラソンーオリンピック」と「落語」がつながって
一安心。
クドカンの趣味で、必然性もなく落語パートを入れてるんじゃないかと
実はちょっと心配してたのよ。
射殺シーンと富久のシーンを交互に入れる演出、
もの悲しさとともに、
彼の人生がもたらしたものがちゃんと残っていくということも
描いていて、うまかった。

マリーのあたらない占いに、
うさんくさいひげを生やして
たくましく生きのびている美川。
コミカルな癒しのシーンもちゃんと入ってて
暗い気持ちで終わらなくてよかったよ。
ろくでもないのに愛される美川、
愛嬌の勝利。

【その他いろいろ】
・園生の色気すごい。
 そして、園生と志ん生の関係、なんかときめくわ。

・小松くん、四三のこと、
「身勝手な男」
「働いてるとこ見たことない」
「どうしようもない」
って!
ちゃんと作中世界でもそういう評価がされてて安心したよ。
ヒーローとして描かれてたらもやもやしちゃう。

・小松・志ん生・園生を射殺しようとして思いとどまった中国人、
 一度はがきを買っただけの小松くんのこと、よく覚えてたな……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

159-162:最近読んだ本(メモ)

2019-10-12 14:52:08 | 19 本の感想

久保田由希 『心がラクになる ドイツのシンプル家事
ドイツの場合、朝と晩は火を使わないコールドミールだ、というのは
以前聞いたことがあった。
三食ちゃんと食事の準備をしなければならない、
という呪縛から逃れることができれば
ずいぶん気分も楽にちがいない。



梶ヶ谷陽子 『無印良品の整理収納 家族みんなが使いやすくて片づけやすい
印象に残る部分はなし。
無印良品って、西友のプレイベートブランドだったのに、
スーパーのプランド特有のダサさを完全に拭い去っていて
それはすごいと思う。



松苗あけみ 『華咲ける國のオトメ~英國紳士と出会う~
漫画。読み放題にて。
ものすごく好みだった、というわけではないし、
古さも感じるのだけど、ベテランらしい安定感。



神保町文学散歩倶楽部 『東京文学散歩
あまりにも東京に興味がなさすぎて、
せっかく行ってもすぐに「帰りたい」と思ってしまう。
何かしら興味の持てる場所はないかと読んでみた。
残念ながら、聖地巡礼するほど好きな近代文学は
なかったわ……。
ただし、さすが東京、文士に関わる場所は豊富。
全体の位置関係のわかる地図があるとありがたい。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

158:若菜晃子 『地元菓子』

2019-10-10 12:33:47 | 19 本の感想
若菜晃子 『地元菓子 (とんぼの本)』(新潮社)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

初めてなのに懐しい。
「地元菓子」をめぐる旅。
ところ変わればお菓子も変わる。
「そこ」に行かなければ出会えない、愛すべき「地元菓子」をめぐる旅。
一色のえびせん街道、銚子の木の葉パン、
桜餅は長命寺? 道明寺? バターせんべい伝播の謎、
雪国の冬は水ようかん、各地の買い食い図鑑、
東海地方のあんこ愛、そして九州へ餅の旅。
「地方出身女子の甘い記憶」座談会も。

*********************************************
 
とてもすてきな本だった。

もともと、わたしは旅行に行っても
「その土地のものを何としても食べたい!」
という気持ちが希薄なんだけれど
(それを目的にしたことで行動に制約が生じるのがイヤ)、
特にお菓子については、日常よく食べるくせに
旅先でその土地のものを! とは考えなかった。
だけど、この本を読んで、
その土地のお菓子だけを目的に旅をするのも楽しそうだな、と思った。
同じ愛知県内でも知らないお菓子がたくさんある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大河ドラマ『いだてん』#38

2019-10-06 20:46:30 | 大河ドラマ「いだてん」
作中の展開は重苦しくて、胸がつぶれそう。

軍部は「日本にギリシアなんかの火を持ってくるな」と
「聖火」ならぬ「神火」を掲げて走らせろと言いだすし
(↑これがいちばん「話の通じなさ」を表しててきつい)、
会場の設営に資材を出せないから木で作れと言うし。

イギリスとフランスにはボイコットを表明されて、
国中の非難を一身にあびることを承知で
副島氏はオリンピックの返上を決定。
両隣に誰も座らないって、地味につらい……。
この人、伯爵だったのだから、
個人としての体面も大切だっただろうに。

オリンピック目指して頑張る勝にどう伝えたらいいのか、
という四三に代わり、即座に「オリンピック中止!」と
告げるまーちゃん。
彼ももう、傍若無人男ではないのだよね。

「東京じゃなくヘルシンキでオリンピックをやるなら
 それでいい」
と言いきった勝も、学徒出陣で戦地へ送られてしまう。

嘉納先生がオリンピックのために作った競技場が
若者を戦地に送り出すのに使われるのも、
オリンピックに近いところにいながらも
戦争のために夢を散らされるのも、
政治とは無縁でいられないオリンピックの性質を
露骨に表しているようで胸が痛い。

オリンピックを来年に控えた今の日本だって、
政治的なイデオロギーとしては
かなりまずい方向に行っているのはわかるので、
単純に「過去」としてはドラマを見られない。

【その他いろいろ】

・嘉納先生とそれほど深い付き合いがあったわけでもないだろうに、
 先生の死に大泣きする清さん。
 なんというか、こういう屈託のない人って、いいよね。
 ムードに流されて自分で勝手に盛り上がってるだけにしても
 本人の中に嘘はないのよね。

・「あんな手のかかるおじいちゃんが
 死んだらただのいい人になってしまう」
 永井先生も可児先生も、嘉納先生のこと、面倒な人だと思ってたのか。

・辛作が四三のこと、
「家賃も払わない役立たず」
 とはっきり言い、スヤさんが
「役立たずは言い過ぎ、あとはおおむね同意」
 と応じたの、笑った。
 ってか、家賃払ってなかったんか!!
 おどろくほどに真性ニート気質。



 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

157:高殿円 『政略結婚』

2019-10-04 21:27:54 | 19 本の感想
高殿円『政略結婚』(KADOKAWA)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

江戸末期・明治大正・昭和、百二十年の間に
女性の生き方はこう変わった!

金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略)
早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで、
大名の子の結婚はすべて政略結婚、
祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。
私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。
――第一章「てんさいの君」より

不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。
聡明さとしなやかさを兼ね備え、
自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを
三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン!

*********************************************

一部は史実ベース、あとはフィクションなのかな?

第1章は、小説というより
「歴史上の人物の生涯をダイジェストで紹介しました」
という感があって、いまいち引き込まれず、
第2章でちょっと興味を惹かれて、
第3章が一番ドラマチックで面白かった。
タイトルに冠した「政略結婚」の要素は
第2章まで(しかも結果としては……略)。
ただ、女性と「家」との関わり、
「家」への意識の変化を描いた点では
興味深い。

それにしても、江戸時代って
本当に簡単に人が死んでしまう時代だったのね……。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする