金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

お出かけの記30-1:文化のみち @高岳~東大手

2019-11-13 10:39:56 | おでかけの記
数年前から名古屋の見どころとして
「文化のみち」というのを目にすることがあった。
古い洋館群を含んだエリアを指しているらしい。

「そんなのあったっけ??」
という感じだったのだけど、それも当然のことで、
公開されるようになったのが
それほど昔ではなく、
21世紀に入ってしばらくたってかららしいのだった。

地下鉄桜通線・高岳(たかおか)駅で降り、北東へ。


名古屋陶磁器会館。



レトロな建物。


公開されているのは2室だけ。
ショップと、展示室。
展示室ではカルチャー教室みたいなのをやっていた。




陰影が柔らか。


壁のタイルなど、さりげない装飾がいい。




複数の種類のガラスを組み合わせている。


入り口のステンドグラス。


外側も装飾が凝らしてあっていいね。
こういうの、「無駄」とされているのか
最近の建物にはないけど、すてき。


陶磁器資料館を出て、今度は西へ。

このあたりも、昔の建物があちこちに残っている。

住宅街の中に古い町家。
四間道と同じように、「屋根神さま」を祀っている家も。


主税町長屋門。


到着。




文化のみち 二葉館。
「日本初の女優」と言われる川上貞奴が、
実業家・福澤桃介(福沢諭吉の娘婿)と
暮らしていた家だとのこと。

展示物の中の説明に、

”夫の川上音二郎の死後、
「貞奴引退すべし」
という世間の声があって引退した”

という内容があったのだけど、余計なお世話だよね。
なんで世間に進退を決められなきゃいけないんだろう。

貞奴は夫と死別したあとだけど、
福澤と再婚したわけじゃなく、
恋人同士だっただけなのかな?
そのあたりがどうもぼかされてるな……と
後で調べてみたら、福澤には妻子がおり、
不倫だった模様……。



サンルーム。
神戸の異人館でもこういう部屋、あった。




この「文化のみち」にある洋館たちのステンドグラスは
見どころとしても取り上げられていた。
意匠を凝らしていて美しい。







ぼやけてしまい、大部分を撮影できなかったのだけど、
部屋ごとに違う照明もすてきだった。


2階は和室。


こういう狭い仕事部屋がほしい!!

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182:宮本常一 『イザベラ・バードの日本奥地紀行』

2019-11-12 19:04:58 | 19 本の感想
宮本常一『イザベラ・バードの日本奥地紀行』(平凡社)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

西の大紀行家・イザベラ・バードの名紀行を、
東の民俗学者・宮本常一が読む。
日本民族と日本文化の基層を成す岩盤を、深く鋭く穿つ!
未来社84年刊の「古川古松軒 イサベラ・バード」の
イザベラ・バード篇を改題。

*********************************************

イザベラ・バードはその名前と
「明治期に国内を旅行してその記録を残している女性」
くらいのことしか知らなかったのだけども、
たいそう面白くて夢中になって読んだ。

講義を文章に落とし込んだからなのか、
非常に平易な言葉で説明されていて、
著者の持つ知識と組み合わせった考察が楽しい。

明治時代になっても、そこらじゅう(家の中にも!)に
たくさんの蚤がいて、それが当たり前だから
日本文学で蚤については言及されなかったこと、
盲目が増えた原因は性病だったこと、
北の方では西瓜は作られていなかったこと、
田舎には入浴の習慣がなく、着物が汚れるのを防ぐために
半裸~裸で過ごしていて全体的に不潔だったこと、
人々は物見高くて、外国人であるバードを見に
押しかけてきたこと、当時の人々のアイヌ観……等々、
知らないことがいっぱいで、楽しめた。

西日本で発達した町は、通りに沿って街が作られていったけれども、
江戸は昔からあった地名を抱え込んだまま町が作られた……なんて話も
なるほどであった。



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181:甲斐みのり 『東海道新幹線 各駅停車の旅』

2019-11-11 07:04:28 | 19 本の感想
甲斐みのり『東海道新幹線 各駅停車の旅』(ウェッジ)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

お江戸散歩の品川、町ごと博物館のような小田原、
懐かしい昭和の雰囲気漂う熱海、富士山を仰ぐ新富士、
おでんがおいしい静岡、クラシックな建物づくしの米原、
ロマンチックな大阪…。
見て、歩いて、食べて、
それぞれの街を存分に味わいつくした、全17駅。

*********************************************

東海道新幹線の各駅で、観光名所やお店を紹介するという
コンセプトのガイド本。
読む前、エリア在住民であるわたしは
不安になりましたよ。

「『岐阜羽島』と『米原』、いったい何を書くの?」

って……。

読んでみたら、
岐阜羽島では「おちょぼさん」でスペースを稼ぎ、
米原では「近江八幡」をメインに据えて
困難を乗り越えていた。
ひとごとながら安堵!

通り過ぎるだけだった駅で降りてみたくなる、
魅力のある本だった。

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大河ドラマ『いだてん』#42

2019-11-10 20:48:51 | 大河ドラマ「いだてん」
選手村をスタジアムから遠い埼玉の朝霞に
作ることに反対し続けるまーちゃん。
「もう決まったんだから、勝手に動かないでよもー!」
と東氏に文句を言われつつも、あきらめきれず。
ただし、アメリカから代々木の軍用地を返還してもらうには
60億円が必要。

死んだ嘉納先生との対話が始まったときには、
見ながらわたし、
「今時こういうの、やめてよ、もー……」
という気分だったのだけど、
まーちゃんは対話をきっかけに
事態を打開する方法を思いつくことに。

当時60万円もしたカラーテレビの経済効果を訴え、
見事に国から60億円をひきだすことに成功。
このアイディアで窮地を切り抜けるのは
すごいよね……。

こうして前向きな明るいムードになったかと思いきや、
川島がオリンピック担当相に就任。
まーちゃんを排除できないと知るや、
今度は津島を追い落としにかかる。
「あいつ無能だよねー」という悪口を吹きこんだうえ、
「みんな言ってる」って……小学生か!!
そしてそんな川島のやり口を知ったまーちゃんは、
「俺は津島さんを守る!」
と言いだす。
ああ、こじれそうだわ~。

川島は能力も高くしたたかで、
最終章のラスボスにふさわしい存在感。
彼の登場から、まーちゃんが、
「オリンピックが好きすぎるだけの、まっとうな常識人」
に見えて仕方ないよ。

【その他いろいろ】

・バレー部コーチの大松について、
「虐待ではありません」
を繰り返してたが、親に許しを得に行こうが何だろうが、
これは今だったら確実にパワハラ案件。
そりゃ選手も頭突きでボコボコにするわ。

・四三のことがどうしても好きになれない……と思ってたんだけど、
 原因が分かった。
 リアクションがいちいち大げさなんだよ……。

・テレビで五りんを見たまーちゃん、
 国民の無関心を解消するため、
 五りんをオリンピックの広告塔にすることを思いつく。
 シマちゃんや小松くんの無念が間接的ながら
 こうやって解消されるわけね。
 ちゃんと意味のあるキャラクター・設定があって
 本当に良かった。
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176-180:最近読んだ本(メモ)

2019-11-10 09:52:08 | 19 本の感想
藤井青銅『あんまりな名前

アホウドリや無策王などの「侮蔑系」、
ヘクソカズラ、バフンウニなどの「尾籠系」、
チビオオキノコ、昼咲月見草などの「矛盾系」……etc、
いわれてみればの名前たち。



窪園晴夫『数字とことばの不思議な話 (岩波ジュニア新書)
hi(一)-hu(二)
mi(三)-mu(六)
yo(四)-ya(八)
確かに、倍数関係にある数字が同じ音で始まってる!
気付かなかった!!



部屋を考える会『部屋を活かせば人生が変わる

確かに、狭くて通りにくいところって掃除しなくなる。



田中ててて『崖っぷちの女神~飲んだくれのバッカンテ~

読み放題にて。
主人公を替えたシリーズものなのかな?
素敵なおばさんと同様に、
かっこいいおじさんは希少種。



小松ゆみ『「循環ライフ」で、こんなにキレイ! ゆるい片付け

著者の方も書いてるように、当たり前の話。
しかし、この「当たり前」を「知って」はいても、
言語化して、意識して、実行できるかどうかは
別の問題なんだろうなあ。

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おでかけの記29:アンティコカフェ アルアビス @名古屋駅

2019-11-09 10:45:56 | おでかけの記

大名古屋ビルヂング店。
名古屋駅の地下街はいつも混んでいる印象があるのだけど、
大名古屋ビルヂングまで来れば、
ランチタイムでない限り比較的すいている様子。

海老と卵と炒めた玉ねぎを挟んだパニーニに
カフェオレ。
パニーニは注文してから、焼いてくれるのだけど、
機械で表面に焦げめをつけただけで、
中は冷たいままなので変な感じ。
中も温かかったらもっとおいしいだろうな~。
でも、パニーニというもの自体が、こういうものなのかな?
(後日追記:調べたところ、パニーニ=温かいサンドイッチらしいから、
 やっぱり中身も温かいものであるべき!!)


店はそれほど広くない。
フロアに席を詰め込んだ感じで
テーブルとテーブルの間が狭く、
それがちょっと落ち着かない。

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おでかけの記28:郡上大和

2019-11-08 08:44:33 | おでかけの記
翌日は天気予報の通りに晴れ。
前日、雨に濡れて震えていたのが嘘みたいに
朝から暖かい。

この日は郡上大和の
「古今伝授の里 フィールドミュージアム」
へ向かって出発。

藤原定家の血を引く東氏の居城があった場所だとのこと。

ガイドブックや観光サイトを見ていて、
「実は、わざわざ行くほどの場所ではないんだろうな……」
と思ってはいた。
そういうのって、情報としての扱われ方や、行った人のレビューで
何となく察しがつくじゃない。
交通の便が非常に悪い(車で行くか、駅から徒歩20分のどちらか)ことからも
行く人があまりいないんだろうな……というのはわかる。

でも、この機を逃したら一生行かないだろうし、
郡上八幡の市街地はほぼ見たし……ということで決心。

宿泊先のホテルは、山中だったので、
チェックアウトして下山。


途中にあった山内一豊と千代の像。


郡上八幡は千代の出身地の候補のひとつなのであった。
大河ドラマ『功名が辻』のときに
あちこちが「うちが千代のふるさと!」と名乗りを上げていて
話題になってたね。


これは観光エリア内の銀行に掲げてあったやつだけど、
出生地だと言い切ってる。


山から見た城下町。

城下町プラザから、循環バスで郡上八幡駅へ。
帰りは歩いて戻ったけど、徒歩でも15~20分あれば行ける。







長良川鉄道で3駅、徳永駅で下車。
本数が非常に少ないので要注意。


ご当地マンホール。





駅からひたすら歩く。
上の写真のような風景がずーっと続くので不安になってくる。
ほぼ一本道なので道を間違えようがないんだけど、
何もないから……。

虫と鳥の声がよく聞こえる。
そして、蝶々がめちゃくちゃいっぱいいる。
いま、蝶々の第2シーズンなのかも。

特にモンキチョウが多くて、
紫色の花に群がっていた。


撮影の腕の問題でよくわからないけど、
この写真の中にいっぱいいるんだよモンキチョウ。

歩くこと25~30分。
ようやく到着。
公式サイトには「徒歩20分」とあったけれど、
30分見ておいたほうがいいと思う。



人はたくさんいた。
でも、観光客じゃなくて、地元の人たちっぽい。
地域の集会とか展覧会に使用されている模様。


敷地内のお庭。
あらきれい、と思ったけど、
庭の良し悪しなんてわかってない。
水が透明で緑が映ってればきれいと感じてしまう。

「和歌文学館」では、
和歌の歴史が、各時代の代表的な人物にスポットをあてて紹介されていた。
これらのパネルは「ミュージアム」じゃなく
本でも構わないような内容だけど、
東常縁や宗祇に関係する大きな絵が2つあった。





「古今伝授の里」って、静岡県の三島も謳ってたな~と思ってたんだけど、
なんと、同じ人だった!!

宗祇は東常縁から一度目は三島で、二度目は郡上で
それぞれ古今伝授を受けていたのだった。
三島ではきちんと説明を読んでいなかったから
気づかなかった。

敷地内には
「東氏記念館」
「短歌図書館」
「大和文化財収蔵展示館」
などいくつか施設があり、古今伝授に関わる人々の書や
考古学史料なんかを見られる。





道路の向かい側には、東氏の庭園跡。
花の季節には牡丹がきれいなのだそうだけど、
今は何もない。
紅葉にもまだ早い。


1時間弱滞在して、再び徳永駅まで歩く。
次の電車まで1時間以上待たなければならなかったけど、
駅のすぐ近くに三洋堂書店があって
時間つぶしができて助かった。
地図で見たときには遠く感じられたスーパーも
駅のすぐ近く。
ただ、やっぱりミュージアムは
車で行ったほうがいい場所だと思った。


お昼は郡上八幡駅のカフェで
「鶏ちゃん丼」。
ごはん半分にしてもらうの忘れてた……。
結構なボリュームです。


この日は吉田川の色も青。
休憩に入った川沿いのオープンカフェ、
川がよく見えてとてもよかった。

郡上八幡は、名古屋からのショートトリップ先に
ちょうどいい。
晴れた平日にまた行きたい。
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おでかけの記27-2:郡上八幡

2019-11-07 08:22:55 | おでかけの記

いがわこみち。
寛文年間にできた用水路だそう。


とてもいいムード。
ただ、ここは突き当たりになっているし、
なにかのついでと言うよりは、
「この道を見に行くためだけに行く」という場所だ。


水路には丸々と太った鯉がたくさん。
餌のやりすぎなのか、
餌の販売ボックスに「数を制限する」と注意書きがあった。


地図に載っている「折口信夫歌碑」へ。



釈超空の歌碑はあるのに、
折口信夫の碑はない。



折口信夫の歌碑を示す案内版は出ているのに……
と思いながら、よく読んだら!

なんと、折口信夫=釈超空だった!!!!

えええ、そうだったの!?!?

40歳にして知った真実……。
釈超空は教科書で作品にいくつか触れただけだし、
折口信夫にいたっては、
民俗学関係の本で名前や業績の紹介を読んだだけだったしな。
同一人物だということをまったく知らなかった。



郡上八幡の撮影スポットのひとつ・
宗祇水へ。




観光地としてのムードをつくるためなのか、
あちこちの道や店で、この小さな立て看板を見かけた。


宗祇水。
ここも雨のせいで水が濁ってる。



柳と水の組み合わせって、すでに
ある種の記号と化している気がする。


職人町・鍛冶屋町の古い町並み。


レトロな美容室。

観光エリアは2~3時間あれば十分に見て回れる。
「昔の家屋を完全保存!」ではなくて、
メンテナンスしながら生活の中で無理のないように
古い町並みのムードを守っているという感じ。
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おでかけの記27-1:郡上八幡

2019-11-06 08:06:34 | おでかけの記
郡上八幡、昔、高山の帰りに
立ち寄った記憶があるのだけど、
天気が悪かったのと、
自分から進んで行こうと思って行ったのではない、
というのがあって、あまりいい印象がなかった。

楽しい記憶で上書きしておこう、と思い、
ものすごく久しぶりに行くことにした。

名古屋の名鉄バスセンターから8:50分発で
「郡上八幡城下町プラザ」までバスが出ている。
所要時間は1時間半くらい。

長良川鉄道で清流を見ながら……というのにも
惹かれたんだけど、
この日は雨で景色もよくないだろうと思い、バスで行くことに。

到着は10:30くらいだったはず。
城下町プラザのコインロッカーに荷物を置いて散策。


ご当地マンホール。


岐阜県がシェアの大部分を占めているという
「食品サンプル」は、最近ずっと推されてる。
この日は人も少なかったけど、
翌日はたいそうにぎわっていた。


吉田川、雨のせいで水が茶色い。
結構な水量がすごい勢いで流れている。

雨が思ったより激しい……。
あまりおなかがすいていないんだけど、
暖を取るために宮ケ瀬橋の近くにある
「幸甚」へ。
ここは有名なお蕎麦屋さんみたい。



ざるそばと、自然薯牛丼のセット。

蕎麦は、蕎麦の味がした。
「当たり前だろ!」と思われるかもしれないが、
スーパーのお蕎麦は
こんなに蕎麦の味しないよ。
(めったに食べないが)
個人的な好みを言うと、
自然薯のとろろと牛丼は別々に食べたかった。


お寺の門のところに月齢の案内。
旧暦なんだ。
いいね。



レトロな外灯。



ちょっとした水路にも、水際まで下りていくための階段が
家々に作ってある。



撮影スポット、やなか水の小道。
川底の石を敷き詰めて作ったそう。
思ったより短い。




よけいなお世話だけど、
こうやって色石でアクセントつくろうとするの、
やめたほうがいいと思う。
とたんに「チープなアート」になる。



郡上八幡旧庁舎記念館。
大正時代に建てられた建物だそうで、文化財登録されている。


さくらももこデザインのご当地キャラ。
そういえば、さくらももこが亡くなったとき、
彼女が郡上八幡を好きだったという話を
読んだ気がする。


「頼まれてもいないのに勝手にキャラまで考えてみた」。


庁舎の中には、観光案内所とおみやげの売店、
食堂があり。
食堂はシステムがよくわからず、
基本的に不親切な作りなのだけど、
とてもムードがある。


ここにも食品サンプル。

食材や料理そのものの質感によって
似せやすいものと、そうでないものがあるのだろうけど、
どこのを見ても、みかんのクオリティは高い。

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175:森谷明子 『千年の黙 異本源氏物語』

2019-11-04 10:24:32 | 19 本の感想
森谷明子『千年の黙 異本源氏物語 平安推理絵巻』(創元推理文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 
出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、
清少納言が牛車につないでおいたにもかかわらず、
いつの間にか消え失せていた。
帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが――。
闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身。
縺れ合う謎に挑む紫式部を描いた
第一部「上にさぶらふ御猫」。
『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、
幻の巻「かかやく日の宮」――
この巻はなぜ消え去ったのか? 
式部を通して著者が壮大な謎に挑む
第二部「かかやく日の宮」。
紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、
そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を
鮮やかに描き上げた華麗な王朝推理絵巻。

*********************************************

『春や春』のときにはそこまで感じなかったのだけど、
すごい作家さんだ。

道長・彰子・定子だけでなく、実資や元子のエピソードまで
文学に残る記述と史実を織り込みながら、
ミステリーに仕立ててある。
とくに「かかやく日の宮」消失の実行犯が明かされたときには
その幸運よりも恐ろしさの方を感じた。
あんな相手に手を下させた黒幕の罪悪感のなさに
恐怖を感じるのだけども、紫式部がささやかながらも
ちゃんと復讐するので、「ざまあ!」気分も味わえる。

清少納言の話を聞くたびに嫌な顔をする紫式部と、
源氏物語をひそかに愛読する実資のツンデレぶりが楽しい。

三部作で続編があるみたいなので、そちらも読んでみる。

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