演者が誰であったか覚えていないが、壇上から抑揚がなく、ただ淡々とつぶやいているだけなのである。当然、飽きてくる。高校生にとって飽きてきたら、居眠りするか、あるいは隣とふざけあって騒がしくするかのどちらかである。自分は前者であり寝ていたが壇上からの突然の大声で目が覚めた。「あー! うるさい! うるさいよ! 私はこんなうるさいところで講演したことはない! 失礼だ!」 演者が会場の騒がしさに耐え切れなくなったのである。それから会場はおとなしくはなったが誰も話しなど聞いていなかった。あとでクラス担任からひどく怒られた。でもつまらない話はつまらないのだ。しかも無理して聞いていても何の得にもならない。それなら聞いていてもしょうがないから寝るのである。