いいのか悪いのかわからないが、今と父の時代の患者さんとの距離感はかなり違うものがある。父の時代の患者さんからは「お父様とよく飲みに行きましたよ」とか「よくゴルフにいきましたよ」などという声をよく聞く。まあ父のキャラクターもあったのだろうが仕事を離れて父は患者さんと付き合う機会が多かったようである。昔、中学時代、帰宅したら父が茶の間で患者と酒を飲んでいた。「おう、息子だ」と紹介されると、そのヘロヘロに酔った男はいきなり「何?息子?おい、いいかこの先生を悲しませるようなことがあったら、この俺が許さないからな!」といきなり初対面にもかかわらず一喝された。何が何だかわからない。しかしどうやら話の流れで自分は酒の肴になっていたようである。しかし余計なお世話で失礼な話だ。きっとこの患者は父のシンパだったのだろう。まあ今の時代では利害関係のともなう付き合いは避けたほうが安全であると自分は今まで何となく教えられてきた。これはこれで正しいと思う。昔とは時代が違うのである。