幸いなことに最近ではAHAのガイドラインは日本においての心肺蘇生、応急手当のガイドラインの下敷きになっている。日本の団体もこれに準拠する必要性があるので国内でもやり方が比較的統一的な方法になってきた。過去自分はこの日本でのガイドライン作成の委員の仕事もしてきたが20年前の「あなたは敵です」発言を思い出すと、してやったりの想いである。ところが最近の話である。6月22日、23日の集中豪雨で用水路に幼い子供が落ちてしばらくしてから引き上げられたニュースをTVでみた。その現場の目撃者の談であったが「引き上げられた子供の意識はなく、居合わせたおじさんが背中をバンバン叩いて水を吐かせていたようでした」とのこと。正直「まだまだだなぁ~」という感じがした。もちろん居合わせたおじさんの現場での「勇気ある行動」は賞賛に値する(まあ本当は「賞賛に値する」という賛辞ではなく「ごく当然のこと」という感覚に世の中全体がなってくれていればいいのだろうけど)。そしてやった手当内容に関しても現在の日本では「重大な過失がないかぎり法的に擁護」されているので安心して今後もやってほしい。でも方法はあまり適切ではない。これはおじさんが悪いのではなく、以前おじさんに「そうするよう教えた人」がいたということである。それが問題なのである。