さてその現場にいたおじさんの方法が違うと述べたが、正しい方法とは引き上げられて意識がなければすぐに心肺蘇生を始めるというのが正解である。「背中を叩いて水を吐かせていた」とあったが固形物による気道閉塞ではない。溺水してしばらくして引き上げられたが意識がないのはほぼ間違いなく心肺停止である。今では原因の如何にかかわらず、心肺停止であればすぐに心肺蘇生を開始することが勧められている。幼児や子供の心肺停止の原因は気道閉塞(異物閉塞や溺水)が多いということにもかかわらず、意識がない(正常の呼吸をしていない)ことで心肺停止と判断し、気道をクリアにする手技をすることなく心肺蘇生に着手する。その過程で口腔内に吐物や液体が溢れたら、その時点で口腔内に指をいれるなりして掻き出せばよい。実際、心マッサージ自体が気道内圧をあげ気道内の異物を押し出す効果もあるので心肺停止の場合はまず心肺蘇生を行なうのが正しいのである。