医療従事者なら小川培地といえば誰でもああ、あれかとピンとくるはずである。自分が学生時代のころから結核の検査といえばツベルクリンかガフキーか小川培地のいずれかであった。最近ではM-GIT検査やらPCR法などの新しい検査もでてきたが、確定検査として小川培地における診断的価値は今でも有用である。結核は今も決して稀な疾患ではない。日本は世界からみればいまだに中等度の結核蔓延国だそうである。自分は大学救命センター時代に感染対策委員をやらされていた。当時、大学病院の臨床科の中で開放性結核の患者を診療する機会が多かったのは呼吸器内科と救命センターだったのである。何故救命センターに多かったのかというと陳旧性肺結核(過去に結核に罹患し、その後とりあえず排菌しないで何年も安定しているもの)の高齢者や路上生活者の方が何かしらの疾患や外傷で具合が悪くなり救急搬入されるという機会が多かったためである。