本来であれば免罪符とは罪の償いを免除した書状のことを意味するが、責任の所在をぼかす意味もある。免罪符的に用いられるもので例えば「想定外」という言葉がある。これはさきの東日本大震災時に枝野さんが頻用した言葉である。未曾有の大震災であったのは事実であるが、「十分に災害に対する準備をかさねていたにもかかわらずこれだけの被害がでたのは、ある意味しょうがないことである」というような印象がその言葉にはあった。もちろん国側にそんな意識はないとは思うのであるが、「復興の手伝いはするが、結果的に事前の準備が悪かったということを追求しないでくれよ」という気持ちも少しはあったと思われる。この時以来、「想定外」という言葉を使えば、なんとなく周囲を納得させられる、つまりは予定調和の大団円に終わらせられるような使い方になった気がする。責任の所在を不明確にする都合のよい言葉になったようだ。