このイス取りゲームの一部始終をみていた乗客なら、急発進で転倒したのではないことはすぐにわかる。ところがこの高齢女性は周囲の乗客にむかって「ね、ねっ! 急発車したよね? 急発車だよね」と尻餅をつきながら同意を求めたのである。一部始終をみていた乗客はあきれ果てて?無言で無視しているが、同意を求められた何人目かの乗客は、おそらくこの光景をみていなかったのだろう、「えっ? あっ、あー急発車、そう、そう急発車した。おい、運転手! お年寄りが転んでいるぞ、なんとかしないのか?」と叫んだのである。ついにこの高齢女性の策にはまったのである。運転手はバスを路肩に停車させ、介抱するためにこの女性のところまでやってきた。運転手はその女性を抱き上げながら平身低頭である。「ったく、もう・・急に発車するから転んだじゃないの、あいたたた・・」 嘘である。でも運転手は気の毒にも謝罪するしかないのである。まさに言いがかりとしか言いようがない・・・。