一時期、東京の水道水はカルキや塩素くさくてとても飲めたものではなかった。しかし最近ではほとんど臭いもなくなり、わりとすっきりとしたのみ口になったようである。よく考えれば(考えなくても明白なのであるが)、江戸時代からずっと川の水を飲んでいるのである。神田上水や玉川上水などは自然河川を源流として人工的に敷設された川である。江戸の川柳には長屋の上水に鮎が紛れ込んでいて、ああこれは得したという唄があるくらいである。現代では濾過機にかけて、そして化学処理をして衛生的に処理しそしてなおかつ臭いがないようにして家庭に供給されている。スイスや北欧を除くヨーロッパ諸国ではtap waterが飲めない。フランスなどでは石灰分が強すぎるようである。最近、日本でも「なんたら天然水」などと水が売られており、それが市場を形成している。しかし日本はやはり水の美味しい国である。夏場に蛇口を全開にして落ちてくる水流から直接がぶ飲みするのはやはり気持ちのいいものである。