子供が次第に成長する過程で精神運動発達のマイルストーンがある。たとえば生後4か月で首が座る、1歳になると一人で歩けるようになる、3歳になると自分の年齢が言える等などである。またある程度、練習しないと習得できない運動機能もある。それはブクブクうがいしたり自転車に乗ったりするようなものであり、個人的運動能力を必要とするものである。自転車などはさておき、自分が幼稚園や小学校低学年の頃であったが、上ることが必要とされた「大人への階段」があった。これは上らないと自身が周囲から認めてもらえないばかりでなく、生活上必要欠くべからざるものであったため半ば強制的にも習得させられたような記憶がある。それは「粉薬が飲めること」であった。当時の粉薬はドライシロップのように味付けされたものはなかった(ように思う)。とにかくなんだか苦いのである。しかもうまく飲まないと口腔や咽頭にへばりついていつまでも居座るので厄介だった。これをきちんと飲めることは、(もしかしたら自分の周囲だけの話だったかもしれないが)、同年代の子供らの中で一つ大人になれたと自慢できることであったし、あるいは周囲からも認めてもらえる運動機能の一つであった。<o:p></o:p>