吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

たぶん急性硬膜外血腫かも? その4

2016年02月06日 06時42分13秒 | 日記
 頭部外傷後、歩いて帰宅して、その後亡くなっているという病態は戦慄的である。

 しかし、よく話してみるとこの「意識清明期」では、清明といっても完全に清明ではないのである。
 目を開けて喋ってはいるが、つじつまが合わなかったりわずかな記憶障害があったり、あるいはそれら症状がなくとも「どこか変」なのである。

 事故前から傷病者を知る人であれば「あれ?いつもとどこか違うな」と気が付くはずである。初対面であれば「性格的に変」な人もたくさんいるので区別がつきにくい。

 そこですぐに医療機関を受診させるかどうかの一般人の判断は「最初の脳震盪」があったかどうかである。
 頭部外傷とは言え最初に脳震盪がなければほぼ経過観察でよい。

 とりあえず脳震盪があったなら、問題ないことも多いが、まあ早いうちに頭CTスキャンでもやっておいたほうがよい。

 外来に来た場合、「頭うった直後、意識失いましたか?」あるいは子供であれば「お母さん、頭ぶつけた直後、大泣きしましたか?」と聞けば、脳震盪の有無が判断できる。脳震盪で意識を失った子供は直後から「泣く」はずはないのである。

 以上のことさえ気を付ければ一般人の判断でも大事に至ることはない。