吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

川崎市老人ホーム介護士事件雑感 その6

2016年02月29日 06時14分07秒 | 日記
 このように認知症の患者さんはちょっと処置をするにも大ごとなのである。
 自分は医師が行う処置の時のみの付き合いであったが、24時間このような認知症の患者さんのお世話をしていたらどうであろうか? 継続して患者さんから暴言、暴行を受けている場合もあると思われる(いわゆる「介護授受拒否」の状態)。 

 認知症患者さんに寄り添ったいつも優しいケア・・というのは理想である。しかしこれを供給するのは人間である。もちろん自分には24時間365日、継続して優しく認知症患者さんに寄り添うケアなんてものには自信がない。じぶんこそまだまだ修行不足なのであろう。

 特に今回の介護士の傷害致死事件と、昔自分が経験したエピソードとはなんら関連はない。もちろん容疑者を擁護するつもりもまったくない。弱者をベランダから突き落とすなどと言う行為は言語道断、介護云々の話とはまったく別次元の問題である。

 しかし介護の現場は体験した人でないと、その壮絶さは理解できないであろう。生半可なmotivationではとても長続きしない。崇高な理想論だけで太刀打ちできるようなものではない。