吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

川崎市老人ホーム介護士事件雑感 その4

2016年02月26日 05時31分53秒 | 日記
 でも処置を完遂させないと仕事が進まない。
 いくら「動かないでくださいね、ちょっと注射しますね」などとやさしく言っても静かに処置を受けてくれない。
 時に抑制帯から自分で手を抜いて、その手で殴られることもあった。あるいはせっかく消毒した術野に手を出され、滅菌操作が台無しになることもあった。こちらだって嫌がる高齢者の方に無理に処置をするのはつらい。

 ある時の処置である。やはり大暴れしそうな認知症の高齢者の方であった。中心静脈ラインの挿入に際し十分説明もした(もちろん理解はされていないのだけれど)。
 そして皮膚を消毒し滅菌操作で局所麻酔をしたところ、暴れ始めたのである。しばらくもがいていたが、この患者さんは抑制帯を外して自分の手を出した。「あ、殴られる」と思ったら、やにわに私の上腕部を爪でつねり始めたのである。あと少しで処置もおわりそうなので、猛烈に痛かったが、このまま私は我慢した。「もう少しで終わりですから、我慢してくださいねー」と声かけもした。