吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

貴ノ岩の診断書 その2

2018年01月16日 06時46分43秒 | 日記
 まず診断書の病名だが、「裂創痕」「乳突蜂巣炎痕」などは「治った痕跡」という意味であり、現在は治癒している意味である。
 なので今後の生活制限の根拠にならない。だから補足説明で「慢性硬膜下血腫の危険があるため・・」などと今後の休場の理由をつけている。

 慢性硬膜下血腫は高齢者や抗凝固薬を服用している人の頭部打撲の後、1~3か月後あたりに徐々に発症する。若く頑丈で健康体の者にはおこらない。
 頑丈な力士に起こるとしたら(起こりえないが)、打撲時に最低限、脳震盪程度の意識障害くらいないととても理由がつかない。何も神経症状のない若く健康な力士に「慢性硬膜血腫」などは起こるはずがない。

 この診断書と補足説明をみたら、貴ノ花側が「次の場所も休場するので(させるので)、そのように診断書を書いてください」と病院側にねじ込んだのがわかる。
 病院側も有名人相手の診断書には困りものであったろう。有名人でなければ「いや、でも今後の運動制限は必要ないですよ」と補足はかかなかったであろう。担当医もつらかったろうに。
 うちのクリニックではなくてよかった。