はしご外し

　当初、政府は散々、「ワクチン接種はスピード感をもって・・・」とか「いついつまでに・・」とか我々打ち手である医療従事者に対し追い立てるがごとく接種するよう奨励してきた。もちろんそれが我々の使命であるのでやぶさかではない。そして当初、高齢者の大量集中による「予約協奏曲」の最中でも「ワクチンは十分にありますので予約は慌てないでください」などと発表されてきた。その言葉を信じて我々も期待に応えるべく予約を集めてきたのである。
　ところが既報の通り突然の「ワクチン枯渇」宣言を突き付けられた。そのため集めた予約はキャンセルすることになったのである。政府は国に入ってくるワクチン量は概ね半年以上先まで分かっていたはず。その見込みを「十分量ある」とアナウンスしたのは如何なものか。
　「十分あるからワクチン接種を急いで」と言いつつ、突然「ものがありません、配給量を制限します」では、まさに煽てられて梯子にのぼらされ、そして突然はしごを外された感がある。何だかやる気をなくした。
　比較としては不適切だろうが、戦地で戦う兵隊に「弾はいっぱいあるからどんどん撃て」と戦意を鼓舞されつつ、実は銃後では物資がほとんどない状態であり、突然「食料も弾も現地で何とか調達するよう」と言われたような感じなのかも。