大学柔道部時代の同級生の宴会がこの前の土曜におこなわれた。3月10日であり震災後1年ではあるが、そのような話題は出なかった。茨城からの出席者は前日の明け方の震度4には飛び起きたといっていたが、あまり東北の話はでなかった。やはり同業者ばかりなので医療の話が多く、「インフルエンザの検査をしたらAとBが両方同時に陽性になった患者がいた」という話を聞いた。まあ時系列的に2回罹患するよりも「1回で済む」のでこちらのほうが経済的にはいいのであろう。確かに昨年度よりも罹患者の数は多そうであると皆いっていた。うちでも「当日陰性で翌日の再検査で陽性」という患者さんも多く、検査も2回はやってみないと明らかにならないことも多いようである。今年はインフルエンザキットがいくつあっても足りない。同門会といっても医師会の会合のようである。
あれから1年が経過しました。被災地ではまだまだ現在進行形で災害後の状況が続いているところも多いようです。しかしながら被災者の中には「もういい加減、被災者と呼ばれたくない」といわれる方も多いようで、遅々として復興が進まない現状に怒りを感じておられるでしょう。最近、震度5以上の地震も見られており、首都圏を含めた直下型地震が近い将来おこるかもしれないということが現実味を帯びています。今後は年1回くらい災害想定訓練を都内でもおこなったほうがいいかもしれません。例えば幹線道路や電車などを止めて、特定地域を停電させてのdisaster drillは必要であろうと思います。このような訓練は都市の機能を麻痺させてしまうので経済活動に打撃を与えると思います。各関連省庁との調整も難しいと思いますがやはりやっておいたほうがいいと考えますが。
3月も中旬になろうとしているのに、まだインフルエンザが終息しません。というか下火にならず猛威をふるっています。熱もなく少し風邪気味という患者さんに、「ためしにちょっと検査してみましょう」といって検査したら陽性にでてしまいました。また2回きちんとワクチンを打ったにもかかわらず、今年A型に罹患した子供さんが発熱で来院しました。まさか・・2度はないだろうと思いつつ、あまりにも急な発熱だったものでインフルエンザ検査したら、なんと今度はB型が陽性に出てしまいました。お母さんからは「きちんと2回もワクチン打っても2回も罹るんじゃ、ワクチン打つんじゃなかった」といわれました。うーん確かにそういうことになりますが・・・。
暖かい日であったり、寒い日になったりではっきりしない天候が続きます。ここしばらくは雨も降ったり止んだりで傘も手放せません。まあ幾分湿度があがってきたので乾燥肌や静電気はおさまってきたようでいいのですが、この湿度でもインフルエンザは猛威をふるっています。l今年はこんなに流行が遅れとは思いませんでした。年末まではまったく流行の兆しがなく「今年はインフルエンザは流行しないのでは?」などと思ってしまいましたが、そんなことはやっぱりなかったですね。昨年度以上に罹患者が多く、いまだに毎日陽性者がでています。嗽、手洗いをお忘れなく。
まあ大学時代は救命センターだったので刑事事件がらみの診断書・証明書の類もかなり書いた。自分の一番重大で責任の重かった診断書は主治医だったので警察庁長官銃撃にからむ診断書であった。しかし確かに開業した今ではそんなに重大な診断書を依頼されることはないが、それでも「麻薬、覚醒剤中毒ではないこと」の証明を依頼されると、こちらはつい身構えてしまう。救命センターでは中毒者のスクリーニングで簡易迅速尿検査セットを用いた。しかしこれは保険が利かない。しかも開業医レベルではこのキットは置いていない。したがって開業医の自分にとって客観的判断ができないところで、中毒ではないことを証明するのは抵抗があるのである。よく考えてみれば検査もしないでの証明は無理難題なのである。
医師になってから実感したことであるが、「医師による診断書や証明書」は極めて社会的に責任が重いものであるということである。換言すれば社会的に責任をとらされる場合が多いということである。例えば裁判に用いられる診断書、交通事故の保険金が絡む傷病診断書、あるいは身体障害に関する診断書など、その人の人生や生活や収入に関することにまで影響を及ぼすことになるわけで、それなりの重大な責任を負っていることになる。だから診断や証明内容を間違えばその人にもたらされる社会的サービス内容に不当な結果が生じてしまう可能性もあるのである。・・・ということに気がついたのはもう随分昔のことだ。ところが開業してからは、患者さんから気軽に証明書を求められてくる場合が多く、こんなに気軽に書いてもいいのかなーとちょっと不安なのである。
今年は2年ぶりの医療保険薬価改定の年です。またいろいろな点数を安くされていくことでしょう。2年前の地域医療加算点数はとにかく大きな疑問の残る点数新設でした。患者さんからの電話問合せを24時間365日しなさい。そうすれば月に30円あげますよというものである。大昔、損保会社が提供するサービスで顧客の電話健康相談のアルバイトをしたことがある。一晩で数万円頂いた。比較の対象にはならないだろうが月に30円で電話に24時間365日縛られ、しかも電話がつながらないときは他の提携医療機関の電話番号も提出させるというものであった。医療機関からの手上げ申請による認可だったので、こんなものには申請しなかった。さて今回の点数改正はまたどんなことになるのか? ま 国の予算ががないんじゃしょうがないですけど・・・。はぁ~。
次に悪意のある書き込みを防止するために、手術症例の書き込みのできる人を限定するのである。登録された記入者名以外の人は書き込みができない。これでようやく症例の登録が可能になるのである。しかしこの症例登録の手順がまた複雑極まりない。とにかくネットの処理スピードがおそいのである。ようやく症例の登録が終わっても、施設長の承認ボタンがクリックされなければ登録されたことにならない。うちは施設長=症例記入者であるが、手間は同じである。紙の書類に症例を記入するだけであれば手間は随分と楽なのである。ところがネット登録になるととにかく面倒くさく複雑なことばかりなのである。もちろん手書き書類のほうがずっと早くすむ。ネット登録にさせる利点はどこにあるのだろうか? 完全に事務処理の煩雑さを解消するためのものであって、こちら側には何一つ利便性はない。本来はむこうでやっていた事務処理をこちらに廻されたわけであるので事務手数料を取りたいくらいである。
さて外科的な縫合が増えてきて、外科専門医が更新できるようになったことは良いが、その実績の証明である。昔は書類に記して提出すればよかった。ところが昨年からネット上で登録させるような新システムになったのである。これがまた実に面倒くさいというか、半ばお仕置き見たいなものなのである。当然、患者さんの名前などの記載はないが生年月日、居住地、性別などの個人情報は登録させられる。ネット上のことなのでやたらセキュリティが厳しいのである。まずこのネットにアクセスするためには記入者の情報を登録させられる。自分の身分は運転免許のコピーを別途郵送させられる。これの承認に1週間以上かかった。これでようやくアクセスして開くことができるのである。次に自分のクリニックの登録である。これも本当にその医療施設が存在するかの証明(開設してあるHPなど)をさせられるのである。自分の証明と所属施設の証明が終わってもまだ登録できないのだ。
外科開業医だけでは実は診療所経営はやっていけない。同時に内科系の患者さんもみないとやっていけないのである。これは医療保険行政がそうさせているのである。幸いというか何というか、うちは内科の患者さんだけでなく、ケガをして縫合が必要な患者さんは比較的多く来院する。しかしながら増えてきたのはここ数年であり、開業当初はほとんど縫合が必要な患者さんは来院せず、縫合キットが開封されることはなかった。やはりこの辺りは口コミなんであろうか徐々に外傷患者さんが増えてきた。しかしそれでもケガの患者数は波があり来ないときは1週間以上一人も来ないこともある。定時収入が望めないので外科の看板一つではやっていけないのである。父の代の「吉田外科」の看板を変えた理由はここにある。まあそれでもようやく何とか外科専門医を更新できるくらいの例数を数えるようになってきた。縫合処置はなかなか個人差があって一応に「できあがり」がうまくいくとは限らない。単調な外来業務の中で、唯一アドレナリンがでる作業なのである。
以前、内視鏡学会の専門医更新のためにセミナー受講しなければならないことを書いた。自分はその他にも救急専門医、外科専門医の資格がある。これら資格を更新するのに最近ではなかなか面倒になってきた。昔は多くの専門医資格は毎年開催される学会に出席すれば更新ができた。ところが最近ではそれだけではだめであり、それなりの業績を積んで、それを提示しないと更新できなくなった。外科学会専門医であるが、数年前より5年分の手術症例を提出することが義務付けられたのである。外科系の医師でも年数がたつに連れて外科手術の数が減ってくる。特に外科で開業していてもしだいに内科系の患者さんのみの診療になってくる。次第に更新することが難しくなっているようである。