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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「活到老 学到老」という言葉

2008-09-16 01:02:31 | よしなしごと
 先日、ある映画の試写会で、昨年から約一年間、中国語の勉強のため北京語言大学へ留学していて、この夏に帰国した高野史枝さんにお目にかかりました。
 彼女とは、残念ながら今は中断(?)しているある雑誌で一緒にお仕事をさせていただいていた間柄です。
 別々に文章を寄稿するのではなく、同じテーマについて二人が書くのですから、まさに一緒にお仕事をさせていただいた感が強かったのです。

 偉いなぁと思うのは、今時の若い人は世界を股にかけてどこへでも飛んで行くのですが、彼女は決して(「決して」まではいわない方がいいかなぁ)若くはないにもかかわらず、思い切ったことを実行したということです。ぶっちゃけた話、孫がいても不思議ではないのです。
 その彼女が、一年間、異国の地で世界中から集まった自分の子供よりも若い人たちと学ぶ、そして、なんと卒業時の作文コンクール(むろん中国語)では一等賞を取ってしまうというのはすごいと思うのです。
 その上、自らの卒業を記念して、雲南への一人旅まで敢行するというおまけが付くのです。

 

 そうした彼女の一年間を、きわめてコンパクトにまとめた文章を巻頭に載せた小冊子をいただきました。
 その文章のタイトルが【「活到老 学到老」を忘れない】でした。そしてこの言葉は、先に述べた作文コンクールに提出した彼女の作文のタイトルでもあったそうです。
 この言葉の意味は、「生きている限り学び続ける」というのだそうです。

 日本語でも、「生きている限り修行」だとか「生涯学習」だとかいわれるのですが、ひとつ間違うと説教じみてしまうこの言葉も、高野さんのようにその実践を伴って語られると説得力があるし、怠け者の私などは少しうつむいてしまいそうになるのです。

 

 とはいえ、私も遊んでばかりいるわけでもありません。
 彼女ほどリスクを背負った学習はしていませんが、それなりに勉強をしようとはしています。独学ではどうしても偏りが出るので、私に刺激を与えてくれそうな会に出かけてディスカッションに参加したりします。毎月、第四木曜日に出かけている会もその一つです。

 また、高校時代の文系クラブの人たち(半世紀前の同窓生です)と年二回ほど行う勉強会があり、先日も集まったばかりです。
 六~七人のメンバーですが、実業学校だったせいもあって、大学へ行ったのは私を含めて二名だけです。今なお、家業に精を出しているひともいます。
 
 しかし、各自が様々な問題意識を持ち、結構面白い視点から問題を提起します。
 今回は、私がレポーターで、最近の殺人事件について考えるということだったのですが、まとまりの悪いレポートしかできませんでした。
 しかしそれでも、あちこちへと脱線しながらも(その脱線が面白い)話が弾みました。

 

 これまでは、午後から集まって話をし、夕方からは食事をしながらの懇親会ということでしたが、始めてから一〇回目を数える次回は、長良河畔に宿でもとってゆっくり話をしようかという案も出ています。
 まあ、前半に述べた高野さんのそれに比べたら、随分ゆる~い「活到老 学到老」ではありますが、「少年易老学難成」のなれの果てですから、これぐらいで諒とすべきでしょう。












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映画『パコと魔法の絵本』を観る

2008-09-16 00:50:05 | 映画評論
 予告編を見た限りでは、なんだかけったいな映画だなと思いました。
 それでも、『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督の作品だし・・との思いはありました。
 ネット上で、ある映画が好きな知り合いが熱を込めて書いているのを見ました。
 新聞などの評価も割合、良いようです。
 そんなことで結局観に行くことにしました。



 あらすじだけにしてしまうと、まことにベタな話になってしまうのですが、そこんとこをてんこ盛りの中味のあるものにしてしまうところがこの監督の持ち味であり手腕でしょうね。
 「不思議の国のアリス」を思わせるシュールな映像、絵本の中の世界と病院という世界との自己言及的な交差、さらにそれが事後的に語られるている「今」、それら三重の世界が無理なくまとめられています。

 達者な役者陣も見もので、病院という場所に集められたそれぞれのキャラクターの展開は、犬童一心監督の『メゾン・ド・ヒミコ』をも思わせるものがあります。
 終盤にはちょっとしたどんでん返しもあり、それらが総合して、結構厚みのある世界を表現しています。



 実写とCGの混成、サイケデリックな衣装、時に役者がカメラ目線で話したりする場面もリアリティを損なうことなく、この物語が置かれた空間をかえって強調し、ひとつの特異な世界を描き出しているようです。
 105分の上映時間のうち、だれたシーンは一箇所もなく、終始アップテンポで進む様は見事だと思いました。大人から子供まで楽しめるエンターティメントを、手を抜くことなく見事にやり遂げたと言えます。
 
 中島哲也監督、やはり鬼才、或いは奇才でしょうね。

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