百円玉2個+五〇円玉1個(250円)=五円玉×50個(250円)
小学校以来そのように心得ていました。
しかし、歳は取るものですねぇ、この等式が成立しない異次元に遭遇してしまったのです。
そこではその等式は以下のようにアレンジされます。
百円玉2個+五〇円玉1個(250円)=五円玉×8個(40円)
私は時々嘘を付くことがありますが、これは嘘ではありません。
現実の体験なのです。
ある事情で、五円玉が複数必要になりました。
私はかつて自分の店を持っていましたので、つり銭の両替はほとんど日課で銀行へ行っていました。
しかしこの間、事情は変わったようなのです。
ATMの端末で一万円札を千円札に替えるのは時々していますが、硬貨への両替はできないようです。
そこでカウンターへいって250円を出し、「すみません、これを五円玉に替えてください」と頼みました。

かつてならそれで、五円玉が50個包装された筒っぽが出て来たものでした。
ところがカウンターのおねえさんは少しためらうようにして、「あのう、手数料がかかりますがいいでしょうか」とおっしゃいます。
へえ、そんな手数料が要るようになったのだと思いながら相手は五円玉、大したことはないだろうと思って、「で、いくらですか」と尋ねたのです。
するとおねえさん、少しいいにくそうに「210円です」とおっしゃったのです。
え、え、え???
すると、250円を出して、返って来るのは五円玉8個、つまり40円ということ?さすが商業高校出身の私にはその暗算がすぐにできたのでした(誰でもできるっちゅうに)。
ようするに、百円玉2個+五〇円玉1個(250円)=五円玉×8個(40円)という等式がここでは成立しているのです。
いつの間にこんな世の中になってしまったのだろう(大げさだって)と思いながら私は「それなら結構です」と答えたのでした。
こうなったら、道を行くときも下を向いて歩み、執念で5円玉をン十枚拾ってやるぞと固く決心をしたのでした。
カウンターを離れようとする私に、そのおねえさんはなおも声をかけます。
「どうしても50枚が必要ですか」との質問です。
「別に50枚揃わなくとも、それに近い枚数なら・・・」と私。
するとおねえさん曰く、「49枚まででしたら手数料は要りません」。
またしても、え、え、え?です。
でも、その言葉は私には地獄に仏でした。明日から自販機の周りや人様が小銭を落としそうなところをチェックして歩く生活を覚悟していたのですから。
それでは、というので私は小銭入れの中にあった245円を出し、これで五円玉49枚にしてくださいと叫びました。

す、するとおねえさんは、私の出した五円玉をその白魚のような指でツーと返してよこし言ったのです。
「これはもう五円玉ですから必要ありませんね」
あっ、あっ、あっ、そうなんだ、と思いながら私は年甲斐もなく少し耳が赤くなったように思いました。
49枚に意地っ張りのようにこだわって五円玉の両替に五円玉を出した私、なんか可愛いではありませんか。
え?可愛くなんぞない、単なるアホですか?まあ、そうでしょうね。
やがて、おねえさんはジャラジャラと五円玉をトレイに乗せて現れました。
そしてそれを袋に移しながら、「ごめんなさいね、細かいことを申し上げて。でもこれ、そういう決まりなんで」といってくれました。
「手数料は210円です」といった時のおねえさんはまさに夜叉のように思えたのですが、最後には優しい如菩薩に変じていたのでした。
ところで、今の小売商の方々は両替の度に210円の手数料を払っていらっしゃるのでしょうか。それとも私のように49枚の両替にとどめているのでしょうか。
50枚で筒っぽになったのは運搬も容易ですが、49枚がジャラジャラというのはなんだかうっとうしいですね。
小学校以来そのように心得ていました。
しかし、歳は取るものですねぇ、この等式が成立しない異次元に遭遇してしまったのです。
そこではその等式は以下のようにアレンジされます。
百円玉2個+五〇円玉1個(250円)=五円玉×8個(40円)
私は時々嘘を付くことがありますが、これは嘘ではありません。
現実の体験なのです。
ある事情で、五円玉が複数必要になりました。
私はかつて自分の店を持っていましたので、つり銭の両替はほとんど日課で銀行へ行っていました。
しかしこの間、事情は変わったようなのです。
ATMの端末で一万円札を千円札に替えるのは時々していますが、硬貨への両替はできないようです。
そこでカウンターへいって250円を出し、「すみません、これを五円玉に替えてください」と頼みました。

かつてならそれで、五円玉が50個包装された筒っぽが出て来たものでした。
ところがカウンターのおねえさんは少しためらうようにして、「あのう、手数料がかかりますがいいでしょうか」とおっしゃいます。
へえ、そんな手数料が要るようになったのだと思いながら相手は五円玉、大したことはないだろうと思って、「で、いくらですか」と尋ねたのです。
するとおねえさん、少しいいにくそうに「210円です」とおっしゃったのです。
え、え、え???
すると、250円を出して、返って来るのは五円玉8個、つまり40円ということ?さすが商業高校出身の私にはその暗算がすぐにできたのでした(誰でもできるっちゅうに)。
ようするに、百円玉2個+五〇円玉1個(250円)=五円玉×8個(40円)という等式がここでは成立しているのです。
いつの間にこんな世の中になってしまったのだろう(大げさだって)と思いながら私は「それなら結構です」と答えたのでした。
こうなったら、道を行くときも下を向いて歩み、執念で5円玉をン十枚拾ってやるぞと固く決心をしたのでした。
カウンターを離れようとする私に、そのおねえさんはなおも声をかけます。
「どうしても50枚が必要ですか」との質問です。
「別に50枚揃わなくとも、それに近い枚数なら・・・」と私。
するとおねえさん曰く、「49枚まででしたら手数料は要りません」。
またしても、え、え、え?です。
でも、その言葉は私には地獄に仏でした。明日から自販機の周りや人様が小銭を落としそうなところをチェックして歩く生活を覚悟していたのですから。
それでは、というので私は小銭入れの中にあった245円を出し、これで五円玉49枚にしてくださいと叫びました。

す、するとおねえさんは、私の出した五円玉をその白魚のような指でツーと返してよこし言ったのです。
「これはもう五円玉ですから必要ありませんね」
あっ、あっ、あっ、そうなんだ、と思いながら私は年甲斐もなく少し耳が赤くなったように思いました。
49枚に意地っ張りのようにこだわって五円玉の両替に五円玉を出した私、なんか可愛いではありませんか。
え?可愛くなんぞない、単なるアホですか?まあ、そうでしょうね。
やがて、おねえさんはジャラジャラと五円玉をトレイに乗せて現れました。
そしてそれを袋に移しながら、「ごめんなさいね、細かいことを申し上げて。でもこれ、そういう決まりなんで」といってくれました。
「手数料は210円です」といった時のおねえさんはまさに夜叉のように思えたのですが、最後には優しい如菩薩に変じていたのでした。
ところで、今の小売商の方々は両替の度に210円の手数料を払っていらっしゃるのでしょうか。それとも私のように49枚の両替にとどめているのでしょうか。
50枚で筒っぽになったのは運搬も容易ですが、49枚がジャラジャラというのはなんだかうっとうしいですね。