先般、名古屋である会合に出たあと、今池へ寄った。
まずはお目当ての映画を観る。
今池での映画は、なんといっても「名古屋シネマテーク」で観ることが多いのだが、今回はそうではなくて「キノシタホール」。
ここへも時折、足を運ぶ。
ここは、私にとってはとてもありがたい映画館なのだ。
映画が好きではあるが、岐阜に住む身、観たい映画の大半は素通りである。
したがって名古屋へ出るのだが、映画だけのために名古屋ヘ往復するのはいささかつらい。
シニア料金で映画を観る身としては、映画代よりも交通費のほうが倍ぐらいになってしまうのだ。
もちろん時間もかかる。往復のそれは映画一本分の倍近くになるからそれだけで一日仕事だ。

キノシタホールへの階段 エレベーターもあるがこの階段がお気に入り
そこでキノシタホールの出番だ。ここは、私が名古屋へ出る機会と合わなくて観過してしまったものをしばらくあとに上映してくれるのだ。
いわば良質の映画の二番館なのだ。
にもかかわらず、観客の少ないのは気になる。
良質の映画をとても良い環境下で観せるのだからもっと多くの人が来てもいいはずだと思う。
いつかなど、観客は私一人であった。もったいないやら申し訳ないやら複雑な気持ちであった。
ここでいちばん多く入っていた記憶は、もう20年ぐらい前になるだろうか、いまのようにきれいに改装される前だったが、やはりリヴァイヴァル上映の『天井桟敷の人々』上映の折だった。
この折には満席とはいわないが、いつになく大勢の人が入っていた。
3時間10分という長い映画ではあったが、息つくひまもないほどの充実した映画が終わり、エンドロールが終わってもしばらくは席を立てないほどであった。
そのとき、何かしら異様な雰囲気を感じて、斜め前の席をみると、和服姿の妙齢の夫人が、ハンカチを顔に押し当てて静かに泣いていたのだった。
映画にも感動したが、この情景そのものにも感動した。

考えてみれば、私が映画に親しむようになったのは、学校からの集団鑑賞を除けば、学校を出ていくぶんデスペレイトになっていた時期、当時、名古屋の電停毎にあったような場末の二番館で、土曜日の夜など、三本立て50円のプログラムをろくすっぽ内容すら確かめず、半分酔醒ましのように入っていた時期だった。
美男美女のラブロマンスやチャンバラ映画の合間に、「これは」といずまいを正して観るようなものがままあった。
思い出すのは、『豚と軍艦』や『貴族の階段』などだ。
それが、私が映画を主体的に見るようになった原点かもしれない。
キノシタホールへ話を戻そう。
先般、観たのは『黄金のアデーレ』だった。
それについての感想はすでに書いた。
その後のCDの購入と酒と蕎麦について書くつもりだったがもう十分長くなってしまった。
続きは次回としたい。
まずはお目当ての映画を観る。
今池での映画は、なんといっても「名古屋シネマテーク」で観ることが多いのだが、今回はそうではなくて「キノシタホール」。
ここへも時折、足を運ぶ。
ここは、私にとってはとてもありがたい映画館なのだ。
映画が好きではあるが、岐阜に住む身、観たい映画の大半は素通りである。
したがって名古屋へ出るのだが、映画だけのために名古屋ヘ往復するのはいささかつらい。
シニア料金で映画を観る身としては、映画代よりも交通費のほうが倍ぐらいになってしまうのだ。
もちろん時間もかかる。往復のそれは映画一本分の倍近くになるからそれだけで一日仕事だ。

キノシタホールへの階段 エレベーターもあるがこの階段がお気に入り
そこでキノシタホールの出番だ。ここは、私が名古屋へ出る機会と合わなくて観過してしまったものをしばらくあとに上映してくれるのだ。
いわば良質の映画の二番館なのだ。
にもかかわらず、観客の少ないのは気になる。
良質の映画をとても良い環境下で観せるのだからもっと多くの人が来てもいいはずだと思う。
いつかなど、観客は私一人であった。もったいないやら申し訳ないやら複雑な気持ちであった。
ここでいちばん多く入っていた記憶は、もう20年ぐらい前になるだろうか、いまのようにきれいに改装される前だったが、やはりリヴァイヴァル上映の『天井桟敷の人々』上映の折だった。
この折には満席とはいわないが、いつになく大勢の人が入っていた。
3時間10分という長い映画ではあったが、息つくひまもないほどの充実した映画が終わり、エンドロールが終わってもしばらくは席を立てないほどであった。
そのとき、何かしら異様な雰囲気を感じて、斜め前の席をみると、和服姿の妙齢の夫人が、ハンカチを顔に押し当てて静かに泣いていたのだった。
映画にも感動したが、この情景そのものにも感動した。

考えてみれば、私が映画に親しむようになったのは、学校からの集団鑑賞を除けば、学校を出ていくぶんデスペレイトになっていた時期、当時、名古屋の電停毎にあったような場末の二番館で、土曜日の夜など、三本立て50円のプログラムをろくすっぽ内容すら確かめず、半分酔醒ましのように入っていた時期だった。
美男美女のラブロマンスやチャンバラ映画の合間に、「これは」といずまいを正して観るようなものがままあった。
思い出すのは、『豚と軍艦』や『貴族の階段』などだ。
それが、私が映画を主体的に見るようになった原点かもしれない。
キノシタホールへ話を戻そう。
先般、観たのは『黄金のアデーレ』だった。
それについての感想はすでに書いた。
その後のCDの購入と酒と蕎麦について書くつもりだったがもう十分長くなってしまった。
続きは次回としたい。