正月に門松を立てる風習はうんと少なくなった。
かつては、役場など公の建物にはほとんどといっていいほど立てられていたし、個人の住宅でも一軒家などではけっこう立てていたものである。
わが家は一軒家でここに建ってから半世紀以上になるが、その半世紀ほど前、何回かにわたって門松を立てたことがある。それは見栄でもなんでもなく、亡くなった連れ合いがこの地区でもまあまあ名のある学習塾を経営していたからである。
そのうちに、日本全国で門松に使う松竹梅の需要が膨大になったのか、お上からの倹約令のようなものが出て、門松の代わりにこれをというので、門松の絵を描いた縦長の紙が配られたりした。
こんなまがい物を貼り付けたって・・・・とこれを機会に門松もやめ、そのキッチュな張り紙もやめにした。
それ以後の正月の玄関先であるが、なにもないのも寂しいと、この時期紅葉している鉢植えなど置いているのだが、今年はそれらしいものもなく、紅白のナンテンを切って飾ることにした。けっこう様になっているとはやはり甘い評価だろう。
いずれにしても、郵便配達と新聞配達以外訪れる人もない実質の独居老人、たんなる自己満足でしかないが、それさえも失ってはという気持ちがどこかにあり、毎年なにがしかを飾っている。