とりわけこれといったこともない平穏な三が日であった。
ほぼ書き上がった原稿をチェックしながら久々にシューベルトのピアノ曲を聴いている。
弾き手は昨年亡くなったマウリツィオ・ポリーノ。私より4歳若いのに。
曲は作品番号D760(op.15)の「さすらい人幻想曲」とD845(op.42)のピアノソナタ16番。両曲ともに、ある種の激しさと優しさが交互に現れてくる。それらが後期ロマン派のように滑らかに融合しているというより、まさに交互に表現される。
彼をロマン派に数えるのが普通だが、その意味ではやはり、ベートーヴェン直後の移行期にある作曲家とみたほうがいいかもしれない。
もって回った表現よりこうした直裁的なものが性に合っているせいか肌に染みるように聴くことが出来た。ただし、優しい部分はあくまで優しく、ポリーニの演奏はその辺の対比を明確に表現していて好ましい。
聴いたのは1974年、ポリーニ32歳の演奏。
写真は元日のわが家を正面から。
二枚目は蕾を付け始めた鉢植えの紅梅。