メダカが来てから一週間。メダカの天敵がいることは予想していた。小魚を捕食する水生昆虫などは近くにもいないし、火鉢の中へやってくることはないだろう。
とすると、あとは猫か鳥類だ。そこで、夜間には網戸のネットを利用したカバーを掛けることにした。われながらいいアイディアだと思った。
しかし、いつも掛けておくわけではなく、餌をやる時間は全開し、昼間は半分、ないしそれ以上は開けておくことにしている。だって、メダカたちにも、ホテイアオイにも、充分陽の恵みを与えてやりたいではないか。
彼らがやってきて以降、それでうまくやってきた。だから16日も、朝、餌をやってから半分以上を開放状態にしておいた。
昼、覗きに行って、ア、と思った。なんと、ホテイアオイの葉の上に、アマガエルが一匹乗っているではないか。これは想定外だった。
慌てて追いかけ回し、捕らえて火鉢の外へ追放した。
メダカたちは何ごともなかったように元気に泳ぎ回っている。
そこでハッと気づいた大問題は、アマガエルはメダカを食うかどうかだ。さっそくネットで検索した。
ところがどうだ。その回答はほぼまっ二つ。
「アマガエルは陸上で昆虫などを捕食し、水中のものは食べません、うちでは、メダカとアマガエルが共存しています」というものがある一方、「アマガエルは陸上だろうが水中であろうが、小さな動くものに反応し捕食します、うちのメダカが減ったのはそのせいだろうと思います」というのもあって、10近くの回答のうち、その可否はほぼ半々。
ならば自分の目で確かめてみようと火鉢のヘリで目視の観察。ホテイアオイも引き上げて数えてみる。
わが家へ来たときの構成はこうだった。緋メダカ5、スタンダード3、シルバーまたはホワイト3(この中には脊椎が曲がったノートルもいた)、そして真っ黒が1、で計12尾。
懸命に数える。緋色の5尾はすぐ確認できる。スタンダードは地味で数えにくいから後回し。続いて白ないしはシルバー、ん?2尾は確認、残るはノートル・・・・、目を凝らすが見当たらない。
後で確認するとしてほかを探す。黒いのは底の方にいた。そしてスタンダード。よくわからないが、2尾は確認できた。
もう一度最初から数えてみる。ノートルがいないのは確実だ。スタンダードの残り一尾も怪しい。結局、12尾中確認できたのは10尾。
では、アマガエルが食べたのであろうか?それはあまり信じたくはない。うちにはアマガエルはいっぱいいる。しかも彼らは、メダカたちがくる前はこの家のアイドルだったのだ。
近づいてもあまり逃げようともせず、夜、彼らの居そうな繁みに向かって、「ケケケケケケ」とやや高い声で呼びかけると、時として「ケケケケケケ」と鳴き返してくれる愛嬌もの。
そんな彼らが、メダカの天敵だとは思いたくないではないか。
たまたまアマガエルが火鉢の中のホテイアオイの上にいた。そしてメダカの数が減った。これは並行して起こったことだが、この間を因果関係で結びつけるのはやめようと思う。
ただし、網戸用のネットを利用した防御措置は一応強化しよう
それから、もうひとつ、メダカたちを個別に識別し、それに名付けることもやめようと思う。なまじっか名付けたりするから、それの「死」を意識しなければならない。単にメダカたちとのみ心に留めておけば、「数が減った」で済むではないか。
ナチスだって、ユダヤ人を名前で記憶せず番号で呼んでいた。だから、「殺す」という意識を抜きに、「移送」し「最終処分」できたのだ。
さらにいうなら、日本軍の731部隊も、生体解剖の対象を「丸太」とし、一本、二本と数えることで「殺す」のではなく「実験対象」とし得たのではなかったか。
とはいえ、唯一名付けた「ノートル」は、やはり「減った」のでなく「死んだ」のだ。しかも名付けたことによって、その死は悼ましい。
生き物を飼うということはこういうことなのだ。
*写真の白いメダカはすべて在りし日のノートル
初めてのことにとても緊張しました。飼う容器から、えさから店の人に尋ねて、4,5匹でしたか。
その中に、ノ-トルのようなのがいて、殆ど大きくなりませんでした。なんだか他の金魚にいじめられているようにおもったものでした。
分けてくれた友人が、「お祭りで掬ったのが増えたのだから弱いかもしれない」とは言っていましたが、やはり飼い方が適切でなかったのか一匹、二匹となくなってしまいました。
生き物を飼うのは難しかったり、割と簡単だったりでよくわかりません。
魚類に関しては、メダカは今回はじめてですが、前に、飲食店のカウンターで祭りで掬ってきた2,3センチの金魚を二尾、10年間でなんと二〇センチぐらいにまで育てたことががります。
よく冗談好きな客から、それを刺身にしてくれとか塩焼きにしてくれなどと言われました。
店を畳む時、そんな冗談を言っていた常連客のうちの一人が、ぜひ譲ってくれとのことで、差し上げてきました。
熱帯魚などを飼っているベテランの方だというので安心しておいてくることができました。