牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

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辺鄙に僻遠、悠遠、遼遠。思えば遠くに来た、日本酒の名前。

2017-06-29 12:49:34 | 附属酒類経済研究所
                           
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先日、酒問屋の諸先輩方とご一緒したのですが、お酒のメニュー、神亀やら水芭蕉やら粋な銘柄が揃っていました。
(ただ、お値段もなかなか粋だったので、実際には安心の菊正宗の燗酒を2合3本、2合3本、1合3本、2合3本、、、、、!!!)


そんな中、メニューにあった大吟醸酒がちょっと話題に。


「鄙願」


なんて読むのでしょう?


「鄙」って、昔、細川護煕元首相が「鄙(ひな)の論理」という本を出していましたね。「ひなねがい」でしょうか?

あと、田舎を示す「辺鄙(へんぴ)」の場合は、「」で、これは「ひ」もありかと。


でも「鄙願」って、何の意味かわからないし、読めない。


皆でガヤガヤしていたら、ご長老が「あ、あれだな、大洋盛の、、、」と、御存じでした。
(さすが!!と思いつつ、実はワイガヤの中なので、結局聞き洩らしました。反省その1です)

あれれ、村上の大洋盛さん、ウチでも取り扱っていますが、このお酒は知りませんでしたよ(反省その2)。

やばっ

戻ってから調べてみると、読みは「ひがん」。新潟の酒販店さんの自社ブランドとして大洋酒造さんが醸しているお酒のようです。

「鄙願」はどこかにある言葉ではなく、このお酒の為に考えられた造語のようです。納得。





日本酒の場合、銘柄名は日本語(というか漢字数文字)が多いので読み難いものもありますが、いくつかパターンがあるようです。


第一のパターンは固有名詞系。知ってれば読めるし、知らなきゃ読めない。
-「 馬酔木(あしび)」や「浅芽生(あさじお)」、「八咫烏(やたがらす)」など。まあ「浅芽生」は百人一首的には「アサジフ」かな。

第二のパターンはもう少し一般名詞っぽいもの。その単語を知っていれば読めるし、知らなくても漢字が読めれば読み取れるもの。
-あの「獺祭(だっさい)」が代表格ですね。「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」などもそうですね。



第三のパターンは(難しい)漢字を使った造語系。これも漢字がちゃんと読めれば確率1/2くらいでは当たります。
-今回の「鄙願(ひがん)」がそれです。一文字系では「冽(れつ)」「圓(まどか)」など。「白鷹(はくたか)」もこの前差し入れしたら「しろたかを頂きました!!」って呼ばれちゃいましたし、1/2なんですよね。



第四のパターンはごろ合わせ系と言うか、読みから入ったのでは、という系列。
-いま流行の「紀土(きっど)」「作(ざく)」などです。知らずに読むには頭の柔らかさが必要。

第五のパターンは、一見(本当は何かある?)読みもなにも無関係で、知らなきゃ絶対に読めないと思われるもの。
-無風(むかで)、蔵粋(くらしっく)など、頭の柔らかさよりも勘の良さが必要ですね。


しかしワインの銘柄名はあまりこういうのってない感じがしますね。

やはり日本酒は技術の粋を尽くし、差がないところで勝負をするからでしょうか、それともPPAPの国だからでしょうか。

そのうち「難読日本酒銘柄検定」とかやるんだろうなぁ。。。。



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