私が白髪染めに行く美容院は、染毛の待ち時間に、腕をマッサージしてくれる係の人がいる。
みんな20代に見える若いネェちゃんなのだが、その中の1人の彼女がマッサージしながら、「私、ここでは一番年増なんですよ。」と言った。
そこから始まる会話に私はギョッとしたが、何となくうれしかった。
客にマッサージする度に、こんな会話から始まる訳が無い。
きっと私だからかも・・と思ったから。
「全然若いですよ!私なんて40過ぎてますから!そんな風に思うなんてもったいない!」
そんな会話から急に距離が近づいて、行くたびに(その間は5分ぐらいだけれども)、彼女と話をするようになった。
休みはどうする予定か?とか実家はどこにあるとか、うちは母子家庭で子供は幾つなんだ、とか。。。
彼女は一番年配かもしれないが、それでも30代には見えなかったし、顔立ちももともときれいで人形さんみたいだった上に、髪の毛もしっとりストレートだった。しかも性格もしっとりしてて、他のキャピキャピしてる人より、私は気が楽だった。
「いつも髪がきれいですけど、どういう手入れをしているのですか?」と尋ねると、「何もしれませんけど・・?ここのシャンプーを使っているかもしれませんね。」と言った。
ある日、私はその頃地図にはまっていて、美容院でも地図を取り出し待ち時間に見ていた。
彼女がマッサージに来てくれたので、「今、車の運転練習をしているんです。」と言った。
彼女は車の運転をしないようで、「いいですね」みたいな話をしながら、運転の話になった。
「いや、黄色信号が難しいんです。止まるべきか行くべきかがまだ分からないんですよ。^^;」と言うと、彼女は「止まらない車ありますよね。」と言い、「中には赤信号でも渡る車があるから、わざとぶつかってやろうかと思います。」と言う。
清楚でしっとりした彼女の口から「ぶつかってやろう」の言葉に私はギョッとした。
だけど、それ以上は言わなかった。
それから、きわどい黄色信号のたびに、彼女の言葉を思い出した。
若葉マークははずして半年が過ぎたが、未だに黄色信号の判断が苦手で、私はビミョウな時は「とりあえず進む」方にしている。
すると、横断歩道を過ぎる瞬間、信号は赤に変わる。
「でもね、急に止まると危ないのよ、だって後ろからぶつかる事があるから。」
何となく、そんな風には言えなかった。
私だって、車に乗れない時代が長くて、自転車しか乗れない時期が長くて、その時思ってた。
「やい、当てられるもんなら当ててみろ。」
そんな頃は、赤信号で渡る車は許せなかった。
私は車を買ってから、しばらくその美容院に行かなくなった。
自分で白髪染めを始めたからである。
しかし、元々が不器用なのかいい加減なのか、染め残しはあるし、何度も重ねているうちに色がマバラになったり、何よりいかんせん白髪が多すぎる。
そこで自分の時と、美容院とを交互にしようと思い付き、また行ってみた。
その時は彼女はいなかった。
たまたま休みだったのか、他の店にうつったのか。。。
そして、今日もキワドイ黄色信号で、彼女の言葉を思い出すのである。
それから、当てるものなら当ててみろ、と思った所で、本当にそうなったら痛い思いをするのは自転車の方なんだ、と言う事も知った。
あえて加害者だと悟らせて、いったい何を満たしたかったのだろう。
そんな風に思うになったのはみんな、自分が運転するようになってからだけど。
みんな20代に見える若いネェちゃんなのだが、その中の1人の彼女がマッサージしながら、「私、ここでは一番年増なんですよ。」と言った。
そこから始まる会話に私はギョッとしたが、何となくうれしかった。
客にマッサージする度に、こんな会話から始まる訳が無い。
きっと私だからかも・・と思ったから。
「全然若いですよ!私なんて40過ぎてますから!そんな風に思うなんてもったいない!」
そんな会話から急に距離が近づいて、行くたびに(その間は5分ぐらいだけれども)、彼女と話をするようになった。
休みはどうする予定か?とか実家はどこにあるとか、うちは母子家庭で子供は幾つなんだ、とか。。。
彼女は一番年配かもしれないが、それでも30代には見えなかったし、顔立ちももともときれいで人形さんみたいだった上に、髪の毛もしっとりストレートだった。しかも性格もしっとりしてて、他のキャピキャピしてる人より、私は気が楽だった。
「いつも髪がきれいですけど、どういう手入れをしているのですか?」と尋ねると、「何もしれませんけど・・?ここのシャンプーを使っているかもしれませんね。」と言った。
ある日、私はその頃地図にはまっていて、美容院でも地図を取り出し待ち時間に見ていた。
彼女がマッサージに来てくれたので、「今、車の運転練習をしているんです。」と言った。
彼女は車の運転をしないようで、「いいですね」みたいな話をしながら、運転の話になった。
「いや、黄色信号が難しいんです。止まるべきか行くべきかがまだ分からないんですよ。^^;」と言うと、彼女は「止まらない車ありますよね。」と言い、「中には赤信号でも渡る車があるから、わざとぶつかってやろうかと思います。」と言う。
清楚でしっとりした彼女の口から「ぶつかってやろう」の言葉に私はギョッとした。
だけど、それ以上は言わなかった。
それから、きわどい黄色信号のたびに、彼女の言葉を思い出した。
若葉マークははずして半年が過ぎたが、未だに黄色信号の判断が苦手で、私はビミョウな時は「とりあえず進む」方にしている。
すると、横断歩道を過ぎる瞬間、信号は赤に変わる。
「でもね、急に止まると危ないのよ、だって後ろからぶつかる事があるから。」
何となく、そんな風には言えなかった。
私だって、車に乗れない時代が長くて、自転車しか乗れない時期が長くて、その時思ってた。
「やい、当てられるもんなら当ててみろ。」
そんな頃は、赤信号で渡る車は許せなかった。
私は車を買ってから、しばらくその美容院に行かなくなった。
自分で白髪染めを始めたからである。
しかし、元々が不器用なのかいい加減なのか、染め残しはあるし、何度も重ねているうちに色がマバラになったり、何よりいかんせん白髪が多すぎる。
そこで自分の時と、美容院とを交互にしようと思い付き、また行ってみた。
その時は彼女はいなかった。
たまたま休みだったのか、他の店にうつったのか。。。
そして、今日もキワドイ黄色信号で、彼女の言葉を思い出すのである。
それから、当てるものなら当ててみろ、と思った所で、本当にそうなったら痛い思いをするのは自転車の方なんだ、と言う事も知った。
あえて加害者だと悟らせて、いったい何を満たしたかったのだろう。
そんな風に思うになったのはみんな、自分が運転するようになってからだけど。