きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

「何のために生まれてきたの?」/やなせたかしさん

2014-08-02 | 読んだ本
今日はやなせたかしさんの本の紹介である。
「何のために生まれてきたの?」

これは面白かった。

やなせさんはとても信念を持っていて、「戦争」というのを信じていない人なのである。どちらの国も正義なんて言い訳してるけど、正義って立場によっていろいろ変わっちゃうんだよね、ということを言っている。だけど間違いなく「正義」というものがあって、それは困っている人にパンを与えることなんだ、それは世界のどこの国でも間違いない正義だと。
やなせさんは、実際に戦争時代の体験から何が一番辛かったかと言うと、「お腹がすくこと」だったのだと言う。そこで困った人に自分の顔を分け与えるアンパンマンと言うキャラクターが生まれたのだそうだ。

最初は大人向けのブラック童話(?)だったのだが、あまり受けず、出版社からも「もっと刺激的なのにしないと売れませんよ」等と言われるが、「ボクの書きたいのはこれ!」と信念を貫いて書き続けるのである。そして子供から人気が出て大ヒットしたのが69歳だったとか。


あまりにもこの本が面白かったので、もう1冊借りた。

「ぼくは戦争が大きらい」
これは実際の戦争体験を書かれたものである。
軍隊に召集されて集団生活、中国への遠征(しかし偶然も重なり戦場にはならなかった)、上海で迎えた終戦のことなど。

読んですぐにブログに書けば良かったのだけど、父のことなどで書けずにいるうちに忘れてしまった事も多くて書くこともままならないのだが、この本も面白かったことは覚えている。(やなせさんが亡くなる前の年ぐらいにゴーストライターさんがインタビューをまとめたようである。)

やなせさんは軍隊に入っても「こんな練習じゃ負けるだろうなぁ」等と冷めた目で見ていたり、暗号を解読する係なので日頃割とヒマだったりするのだけど、暗号を読み間違えると大変なことになるので、その時は緊張していたそうである。

これを読んで自分の父と似たところもあるし、違う所もあるなぁと思った。
似た所は、父の戦争の話もどこか冷めた所があったのと、違う所は父は「日本が戦争をしたのは間違ってない」と思っていたし、自ら志願したのはずっと名誉としていたことである。たぶん年齢が一回り違うので父はそういう教育を受けていたのだろう。(やなせさんは「志願したのはごく一部、たいていの人は赤紙がきてから行った」と書いてある。)

たしかに最近、平和ボケと言うか、戦争の悲惨さを忘れつつあるような気がするのは私だけだろうか。
これを読んで改めて「戦争はよくないな」と思った。


ちなみにやなせさんは、南京にも軍隊で出向いているがのんびりした町だったようなことが書いてある。やなせさん自身は「南京大虐殺はなかったのではないか」と考えているようである。
中国の軍隊でも民家から略奪をしているようなものがあり、そういう町では逆に日本軍がそういうことをしないので逆に駐留するのを喜ばれたそうである。(こういう所は父の話と似ている雰囲気がある。)
やはり体験者の話は興味深い。

父が元気な時にもっと戦争の話を聞いておけば良かったと思う。
母は嫌な記憶しかないようだし、祖母はさらに思い出すのもイヤだったようだ。(旦那も両親もその間に亡くしたのだ)
そう言えば、またそろそろ終戦記念日だ。。。