既に書き尽くされていると思いますが、ワールドカップ初戦について一言。
ワールドカップを目の前にしたこの一年間の試合で、あまりの不甲斐なさにファンからはブーイングの嵐が沸き起こり、それに対して、岡田監督も明らかに方向性を見失い、直前の韓国戦での敗戦ではチームは崩壊の危機に瀕していたと思います。
こうした状態になり、ファンをはじめ日本国民の大半は、3戦全敗の結果を予想していたと思います(もちろん、勝ってほしいと思ってはいても、です)。そういう意味で、実力以上に過大な期待をしていた過去の大会に比べ、国民も平常心で臨めたという面があったと思います。過大な期待がなかったので、喜びもひとしおだったのではないかと思います。私も寝入っていたクロを驚かすような大声をあげてしまいました。
そして、選手たちも大会前の国民、ファンの評価も相当強く感じていたようですね。しかし、よその国なら選手からも監督批判となるのでしょうが、日本人はやはり真面目なのか、選んでくれた監督に感謝の気持ちがあるのか、監督だけの問題とせず、選手たち自身の問題としてとらえたことが大きかったのでしょうね。相当に話し合いもあったようですし、試合前の肩を組んでの国歌斉唱など、チーム一丸となれたことが大きかったですね。
しかし、「不屈のライオン」もお家芸の内紛、内輪もめで力を発揮できなかったことも大きな勝利の要因の一つであり、初戦がカメルーン戦だったという幸運は否定できません。これが初戦がオランダ戦だったら、勝つことは難しかったでしょうし、その後はまったく別な展開になっていたでしょう。統計上は初戦を制することが非常に重要なのがワールドカップの戦いだからです。その点でも、本当に運にも恵まれています。
今回の勝利は歴史的な勝利ですが、これで予選突破を逃したら、その意味は半減以下となります。統計上、初戦を制したチームが9割近くが予選突破をしているように、日本のこれからの戦いが重要になります。1位抜け候補のオランダには負けても1点差負けに抑え(2点差をつけられたデンマークの上をいき)、デンマークとは最悪でも引き分け、いやらしく予選突破をするような狡猾な戦いができるようになって初めて日本チームが、世界の舞台で認められるのだろうと思います。
今回の勝利について、海外メディアなどはなかなか辛辣な報道も見られますが、結果がすべてのワールドカップでは、メディアには言いたいことを言わせておけばいいだけです。しかし、結果がすべてという点では、本当にこのあとの2試合をいかに狡猾に、老獪に勝ち抜けにつなげていけるかにかかっています。本当に真価が問われるところです。
期待されなかった男たちの底力を見てみたいですね。
しかし、それでも一言言いたいのは、この二年間、まったく試されなかったメンバーとポジションで本戦に臨むチーム編成というのはどうかと思います。名前ではなく、コンディションのいい選手を使うのはいいと思いますが、今回のメンバー・ポジションは結果を出せなかった挙句の開き直りに近く、時間をかけてのチーム作りは何だったのかとなってしまいます。今大会の結果がどうなるか分かりませんが、仮に予選突破をして日本国中が歓喜に沸いたとしても、今後のチームづくりに関しては、十分に検証と対策を考えてほしいものです。