北京中心部には、明清代の北京城に造られた角楼がひとつ残っている。四つのうち南東部にあったので、「北京城東南角楼」と称されている。この中は、「Red Gate Gallery」という画廊になっていた。
主に展示されていたのは、王利豊(ワン・リーフェン)の「大明系列(The Great Ming Dinasty)」シリーズだった。この人は1962年内蒙古生まれで、明王朝に限らずこれまでに唐、清、宋などの王朝に触発された作品群を公表しているようだ。
この「大明系列」では、平面的な作品と立体的な作品とがあった。平面的なものは、キャンバスに椅子や寝台などを顔料で描きつつ、さらに金箔や絹布や書が貼り付けてある。平面的でありながら、呪いのような力が奥行きを生み出しているように感じた。そして立体的な作品はパワフルである。ふたつ作品があり、赤と金の椅子と、金の椅子。それらが匂いそうなつや消しの暗闇から盛り上がっている。解説書によると、黒は墨を混ぜ合わせ、それからなんと丁子(香辛料のクローブ)を砕いて、中国の伝統的な顔料に混ぜているらしい。その、可塑的な顔料の彫刻のような作品である。私はこういうのに弱い。
購入したカタログ(50人民元) 本物は5,000ドル~40,000ドルの値がついている
角楼の階段をのぼっていくと、他のアーティストの作品もある。鄭学武(ツェン・セーウ)の模式的な波の形態、周吉栄(ツォウ・ジロン)のゲルハルト・リヒターを思わせる勢いのあるマチエール、朱偉(ツゥ・ウェイ)のユニークな人形「China, China」が面白かった。
鄭学武(ツェン・セーウ)「The East No. 4」
周吉栄(ツォウ・ジロン)「Mirage No. 47」
朱偉(ツゥ・ウェイ)「China, China」