Sightsong

自縄自縛日記

ダムの映像(1) 佐久間ダム、宮ヶ瀬ダム

2009-06-18 00:23:39 | 環境・自然

以前、日本映画専門チャンネルで岩波映画の特集を組んでいて、『佐久間ダム 総集編』(1958年)も観ることができた。電源開発がスポンサーとなり、日本の記録映画としてはじめてカラーフィルムを使ったものらしい。

佐久間ダムは静岡県、天竜川の下流のほうに建設された。典型的な重力式コンクリートダム(直角三角形の断面となるよう大量のコンクリートで造り水圧を支える)であり、1953年に着工。米国の技術もあって、3年程度の早さで完成している。映画は90分以上の長さだが、発破また発破。掘削するといっては発破。仕事が終わって疲れていることもあり、この眠さたるや拷問に近い(なら観なければいいのですが)。それにいかに岩とは言え、天竜川に砕石ががらがら落ちて行くのはちょっと観ていて辛い。

映画では、まず開発前ののどかな風景を紹介し、その後に天竜川水域の地図を示し、特に下流域が「日本でもっとも開発の進んでいないところ」というような導入を行う。時代性だが、開発に対する盲信と自然破壊への無自覚は凄い。やはり石原裕次郎主演『黒部の太陽』と同様に、他の地域でのプロパガンダ的にも利用されたのだろうか。

技術的に面白いのは、コンクリートの発熱対策である。特にコンクリートを多用する工法であるから、固まる際に60℃以上まで発熱し、収縮するときにひび割れをおこすことが無視できない。ここでは、いくつものブロックに分けることによってそれを解決している。

ついでに、建設産業図書館で借りてきたヴィデオ、『RCD工法の集大成 宮ヶ瀬ダム』(カジマビジョン)を観る。鹿島建設による紹介映像である。

宮ヶ瀬ダムは神奈川県・中津川に建設された、佐久間ダムを上回る規模の巨大な重力式コンクリートダムである。ここでのミソはコンクリートの打設であり、「RCD工法(=Roller Compacted Dam-Concrete)」を用いている。要は、普通の生コンのようなどろどろのものを流しいれるのではなく、「超かたねり」の土砂のようなコンクリートをダンプで運び、それを振動するローラー車で押し固める方法のようで、確かに効率的に見える。またコンクリートの発熱に対しては、一定間隔で板を押し入れ、そこに内部の応力を集中させる方法を採用している。理屈としては、佐久間ダムでユニットに分けたのと同様だろう。

映像は20分程度と短い。これなら、仮に研修や見学で見せてもらうとしても居眠りはしない。

●参照 天野礼子『ダムと日本』とダム萌え写真集 

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