ヨーロッパ行。合間をぬって大美術館に足を運んだ。ルーブル美術館ではレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」やヨハネス・フェルメールの「レースを編む女」「天文学者」、グラン・パレではクリスチャン・ボルタンスキーの新作、ロンドンのナショナル・ギャラリーではフェルメールの「ヴァージナルの前に座る女」「ヴァージナルの前に立つ女」やジョルジュ・スーラの「アニエールの水浴」、マドリッドのソフィア美術館ではパブロ・ピカソの「ゲルニカ」とその習作群、プラド美術館ではディエゴ・ベラスケスの「ラス・メニーナス」やゴヤの膨大な作品群など、歴史的な傑作をいくつも観ることができた。略奪物の殿堂とも言うべき大英博物館では、じっくり観て廻るのに5時間を要してしまった。
ゲルハルト・リヒターの連作2点に思いがけず遭遇したことも嬉しい出来事だった。
ロンドンのテート・モダンでは、「ケージ」と題された6点の連作が展示されていた。もちろん、ジョン・ケージに捧げられたものだ。ペインティングナイフでの削り取り(重ね塗りではない)による、異なる色のマルチレイヤー作品である。(>> リンク)
マドリッドのソフィア美術館には、緑と黒を主体にしたマルチレイヤーの4点連作があった。
これまでワコウ・ワークス・オブ・アート、川村記念美術館、東京都現代美術館、国立近代美術館などでリヒター作品を何度も観ているが、その度に、心臓がぐるりと回り、畏怖とも愉悦ともつかない強い強い印象を抱く。
いま初台のワコウ・ワークス・オブ・アートでも「New Overpainted Photographs」と題した個展が開かれている(>> リンク)。ここでのリヒターの個展は、1997年に足を運んで以来だ。その間に何度も開かれ、見逃し続けている。今回こそ終わる前に駆けつけなければ。