ツマが『クール・ランニング』(ジョン・タートルトーブ、1993年)のパンフも出してきたので、ちょうど五輪だしと安易に思い、録画しておいたのを観た。
ジャマイカの陸上選手たちがボブスレーのチームを作り、1988年のカルガリー五輪に出場するという話。能天気な映画で愉しい。はじめて滑走した際に選手のひとりが目をひん剥いて「I hate you~~~!!!!!」などと絶叫している。本当に怖いんだろうな。ジェットコースターひとつ乗れない私には、生まれ変わっても無理である。
調べると実話のようで、のちにそのひとりはカナダ国籍を取得し、トリノ五輪でメダルまで取ったという。
パンフには、コーチ役のジョン・キャンディが94年に亡くなったときの記事がはさんであった。43歳、心不全。とてもそうは見えないが、撮影時、彼は40歳くらいだったわけだ。
『Daily Yomiuri』1994年3月6日
ジャマイカ+異文化という点で思い出したのは、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『カミング・ホーム・ジャマイカ』(Atlantic、1995-96年ジャマイカで録音)だ。ジョセフ・ジャーマンは脱退したものの、最晩年のレスター・ボウイとマラカイ・フェイヴァース、さらにロスコー・ミッチェル、ドン・モイエという素晴らしい面子。
演奏は賑々しく愉快だ。レゲエ調の曲もある。随分と聴いた。しかし、かつてのAECの演奏に感じられたような、圧倒的な緊張感やビリビリとした冗談が皆無であることには、今さらながら驚かされる。ふたりのメンバーの死によって終焉したこのグループは、実はその前から終わろうとしていたのかな、と考えてみたりする。
97年頃訪れたスリランカ南部の町で、同い年くらいの20代の男たちが、ボブ・マーリーって良いよなと嬉しそうに話していた。やっぱりレゲエは熱帯のものかな。