Sightsong

自縄自縛日記

マイラ・メルフォード『Alive in the House of Saints』 HAT HUTのCDはすぐ劣化する?

2011-04-19 02:16:13 | アヴァンギャルド・ジャズ

先日久しぶりに、マイラ・メルフォードのピアノ・トリオによる傑作、『Alive in the House of Saints』(hat ART、1993年録音)を聴いていたところ、音がへなへなとよれていく。あれおかしいなと思い盤面を見ると、CD内部のアルミ蒸着膜が腐食している。本人にサインを貰った大事なCDであり結構ショックだった。そういえば、同じような症状が、マックス・ローチ+アーチー・シェップ『The Long March Part 1』(hat ART、1979年録音)にもあった。ボーズのWave CDでは音飛びがしても、単体のCDプレイヤーだと上手く信号を補正してくれるのか、再生がおかしくはならなかった。

CDが出始めの頃、そんな話があった。ソニーの社長が「○○年はもちます」と発言し、○○年しか持たないのかという噂が流れたりとか、CDの樹脂によっては塩素がアルミに悪さをして腐食させるのだ、とか。この2枚が両方ともHAT HUT RECORDSのものであることは何を意味するのだろう。当時怪しい素材を使っていたのかな。

そんなわけで、ディスクユニオンに『Alive in the House of Saints』の新版(hatLOGY、1993年録音)の中古盤があったので買い直した。旧版の6曲に未発表4曲が追加され、2枚組になっている。同じレコード会社だがレーベルが変わり、すぐにぼろくなる紙ジャケットになっている。

曲が増えたとは言っても、やはりマイラの名曲「Evening Might Still」と「Jump」が中心であるから、印象はまったく変わらない。リンゼイ・ホーナーのベース、レジー・ニコルソンのドラムスとアスリートのように絡み合い、ギンギンに悦びを発散させる演奏である。何を聴いてもマイラは素晴らしい。ソロライヴを聴いたとき、ヘンリー・スレッギル『Makin' a Move』(Columbia、1995年)に収録されている「Noisy Flowers」に加え、キメの「Jump」を弾いたことが嬉しかったことを覚えている。


福田紀子『山を見に行った』、辻恵子『うさぎ年の春』、BIKAのニラそば

2011-04-19 01:27:45 | アート・映画

谷根千エリアに足を運んだついでに、ギャラリーを覗いた。

福田紀子『山を見に行った』(やぶさいそうすけ)は、模造紙に木や山の絵を描いた作品。紙の上にテキトーに紙が貼ってあり、その上からいかにもテキトーに色が塗られている。その結果、額装もしていないので絵はしわしわだ。暗いギャラリーのこげ茶色の木壁と相まって、まるで小学校で習字が貼り出されているみたいだ。・・・というようなことを、居合わせた作者に話したら苦笑していた。

辻恵子『うさぎ年の春』(トーキョーバイクギャラリー)は、ハギレや切手などの印刷物から人物を切り出し、もとの素材とともに額に収めている。ミニマルの極み、ちっちゃくて細かくて器用である。

何だか気分がささくれだっている今日この頃、これらのようにひたすらに人間くさい手仕事が嬉しい。そうか、これが「癒し系」か。

ついでに、学生時代にときどき行った中華料理のBIKA(根津駅近く)で、名物のニラそばを食べる。肉味噌が中心にあり、周囲は細かいニラだらけ。絶妙に火が通っていて、ちょっと生のピリッとするニラ感も残っている。昔食べた時、勢いよくすすりすぎてニラ片が喉に貼りつき、涙と鼻水を流しながら咳き込んだことを思い出した。もう穏やかに食べる歳なので、今回はそのような馬鹿な事故は起きなかった。