Sightsong

自縄自縛日記

沢渡朔『夜』 星乃舞

2012-08-05 23:32:20 | 写真

沢渡朔の写真展『夜』が今日までだというので、慌てて、新宿の「Place M」に足を運んだ。

ギャラリー内は、大きくデジタルプリントされたカラーのヌード写真で埋め尽くされている。ほとんどすべてが、暗い木々の間で、全裸でうごめく女性モデル。立っていたり、這っていたり、官能的な表情を浮かべていたり、肌に泥を付けていたり。

インモラルではあっても犯罪的ではない。確実に男性の妄想を形成する世界を、魔術的に創り出している。観るたびに、否応なく、この写真家のオンナ写真は凄いと感服させられる。こうなるとエロか芸術かなど関係がない。

会場に沢渡氏がおられたので、少し話をした。

「三國さんとか伊佐山さんとかの写真がずっと好きなんですが、しかしこれはヤラシイですね」
「そう?」
「もうカメラはデジタルですか」
「うん、キヤノンのマークII」
「沢渡さんはペンタックスのイメージなのですが」
「ペンタックスもねえ・・・」
「モデルは誰ですか」
星乃舞。昔、ヒステリックグラマーから分厚い写真集を出した・・・」
「えっ!、じゃあ年齢は」
「30ちょっとかな」
「このシリーズだけで写真集がほしいですね」
「出したいけどね」

いやあ・・・・・・。

●参照
沢渡朔『昭和』 伊佐山ひろ子
沢渡朔『Kinky』(荒張弘子)
沢渡朔『Kinky』と『昭和』(荒張弘子、伊佐山ひろ子)
沢渡朔『シビラの四季』(真行寺君枝)
沢渡朔Cigar - 三國連太郎』(写真集)
沢渡朔『Cigar - 三國連太郎』(写真展)


侯孝賢『珈琲時光』

2012-08-05 00:53:59 | 関東

侯孝賢『珈琲時光』(2003年)を観る。

この映画は、小津安二郎へのオマージュとして撮られた。整頓された二次元的なカメラが小津映画のひとつの特徴だとすれば、この映画は、二次元的な情報を東京という場でハイパー化したものだ。特に、御茶ノ水駅の立体構造のなかで、まるで小津的ドラマが紙芝居のように組み立てられている様は面白く、「フォトモ」を思わせる。

すとんすとんと整頓されているのはカメラワークだけではない。登場人物たちが、ぼそぼそと日常生活のなかで喋り、電車に乗り、食事をし、荷物を詰め直したり、といったプロセスが、瑣末なものであっても、やはり丁寧にすとんすとんと整頓され、積み重ねられていく。

それにしても、神保町の「いもや」や、御茶ノ水の駅や、都電荒川線や、高円寺の「都丸書店」なんかが、自分と他人の間を通り過ぎていく映像を観ていると、何だか胸がしめつけられるような・・・。よくわからぬままに、なぜか猛省したくなるような・・・。

●参照 
侯孝賢『冬々の夏休み』(1984年)
侯孝賢『ミレニアム・マンボ』(2001年)
侯孝賢『レッド・バルーン』(2007年)