Sightsong

自縄自縛日記

渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン

2016-08-05 00:39:25 | アヴァンギャルド・ジャズ

今年の4月に続き、また、新宿ピットインで渋谷毅オーケストラ(2016/8/4)。

Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p, org)
Kosuke Mine 峰厚介 (ts)
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (bs, as, fl)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Kenta Tsugami 津上研太 (ss, as)
Takumi Nakayama 中山拓海 (as)
Osamu Matsumoto 松本治 (tb)
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)
Hideko Shimizu 清水秀子 (vo)

ファーストステージは前回同様「Side Slip」(石渡)から。今回急に参加することになった中山拓海さん(24歳らしい)が、手探りのようにややスモーキーな音でソロを吹き、そのあとを引き継いだ林さんの剛腕アルトにより聴く方も目が覚めてしまう。外山さんはのっけからアナーキーなタイコを叩く。

「Ballad」(石渡)を経て、「Reactionary Tango」(カーラ・ブレイ)。渋谷さんのピアノはいつものこの曲の演奏と違い、装飾音を多めにして繊細に曲のイメージを形作っていくようだ。中山さんが両隣のふたりにつつかれて最初のソロ。これがまた潮目を変えそうな手探りのソロだったのだが、林さんが途中で入って音を厚くし、さらに峰さんもその雰囲気を再生する。このあたりはさすがである。

「Chelsea Bridge」(ストレイホーン)では、浅川マキ「炎の向こうに」の歌伴を想起させる渋谷さんのピアノ。そして「Brother」(林)では、ソロになるやすべてをもぎ取るような林さんのアルト、オルガンとの相性がとてもよい松風さんのフルート。上村さんのベースがノリノリになってくる。

セカンドステージ。「Three Views Of A Secret」(ジャコ・パストリアス)のあとに清水秀子さんが登場して、「Girl Talk」、「Love Dance」、「It's A Lovely Day」、「Sometime Ago」の4曲を気持ちよく歌う。「Sometime Ago」では、誰も楽譜を持っておらず(爆笑)、松風さんがフルートで見事に歌伴をつとめた。

次の「Aita's Country Life」(松風)はヘンな曲である。ギターとベースとが煽りまくる中で、ときどきテーマを差し挟み、その間は、松風さん、中山さん、津上さん、林さんがそれぞれ追い立てられるように濃縮されたアルトソロを取る。そして「Soon I Will Be Done With The Trouble Of The World」(カーラ・ブレイ)、アンコールで「A New Hymn」(カーラ・ブレイ)。渋谷さんは、「Lotus Blossom」(ビリー・ストレイホーン)のピアノソロでステージを締めることをやめてしまったのかな。

今回は、中山さんと清水さんが入ったこともあるのか、少しいつもと違う雰囲気になった。しかしいつもと同じであろうと多少違おうと、この「全員四番打線」が素晴らしいことに変わりはない。

●参照
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
渋谷毅のソロピアノ2枚
見上げてごらん夜の星を
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)