Sightsong

自縄自縛日記

リアル・タイム・オーケストレイション@Ftarri

2016-08-12 22:29:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarriにおいて、しばてつさんによる「リアル・タイム・オーケストレイション」という企画(2016/8/11)。なんといっても、大蔵雅彦、森順治という全く異なるタイプのサックス奏者の共演が気になって、足を運んだ。

Shibatetsu しばてつ (pianica, p)
Junji Mori 森順治 (as, bcl, fl)
Masahiko Okura 大蔵雅彦 (as, bcl)
Riuichi Daijo 大上流一 (g)

1、しば~大蔵~大上。しばさんは異なるピアニカを並べ、弄ぶように吹き始める。大蔵さんのアルトはやはり面白く、妙な倍音を出したり、真横に加えてヘンな音を出したり。大上さんは、横に古いラジオを置き、ギターで弾く音を飛ばしてそれで受信する(あとで訊くと、ヤフオクなんかで安く入手しているとか)。従ってノイズが入り、それも相まって、急に抽象空間があらわれた。

2、しば~森。森さんはアルトを吹く。大蔵さんのアルトが乾いてイラストレイティヴだとすれば、森さんのそれは湿っていて情で濁っている。その森さんのアルトには、ピアニカよりもピアノが合っているような印象。

3、森~大蔵~大上。森さんはフルートを、大蔵さんはバスクラを吹いた。このふたりがはじめて交わったこともあってか、存外に長く熱がこもった演奏となった。

4、森~大蔵。休憩の間に、しばさんが、バスクラのデュオを観たいと言い出した(わたしもそう思った)。なるほど、先の演奏でも感じられたふたりのコントラストが明確となった。

5、全員。最後まで誰もお互いに迎合しなかった。ずっと大上さんの音を聴いていると朦朧としてきた。

そんなわけで、脳のあちこちが思いがけず刺激されて、ひたすら面白いギグだった。

大蔵さんを観たのは90年代以来なのでもう20年近くも前である。大友良英さんの企画で、老いも若きも即興演奏家を集めるセッションが新宿ピットインであったのだ。故・金井英人さん、吉田アミさん、杉本拓さんなども出ていた記憶がある。藤川義明さんと翠川敬基さんが***っていた。大蔵さんは、自身のプレイについては、そのあと音を抑えた時代があって、またそのころに戻っているかもしれないと語った。

●参照
森順治+高橋佑成+瀬尾高志+林ライガ@下北沢APOLLO(2016年)
本多滋世@阿佐ヶ谷天(2016年)(森順治参加)
M.A.S.H.@七針(2016年)
森順治+橋本英樹@Ftarri(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年)


松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン

2016-08-12 00:20:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

祝日の新宿ピットイン昼の部(2016/8/11)、松風鉱一カルテット+石田幹雄。

Koichi Matsukaze 松風鉱一(as, ts, fl)
Takayuki Kato 加藤崇之(g)
Hiroaki Mizutani 水谷浩章(b)
Akira Sotoyama 外山明(ds)
Mikio Ishida 石田幹雄(p)

冒頭の「Marionette」では、全員が小さな音でがさがさと模索するところから始まる。「K2」や「w.w.w.」など松風さんオリジナルの馴染の曲も、新しい曲も演奏した。

雰囲気はこれまでより地味にも感じられるのだが、やはり百戦錬磨の者たちである。あまりにも何気なく、実は凄いことが展開されている。加藤さんのギターとエフェクターのソロは、相変わらず、何が起きているのだろうという異次元ぶり。いきなりの手拍子に川端民生さんを思い出したりもする。松風さんのささくれた音も健在。水谷さんは珍しくウッドベースだったが、それでも面白いことに水谷節。

そしてピアノの石田さんは、独自なコードとリズムの展開の間隙において、その都度、ドゥルーズ的に新たな数列を見出しているようにも見えた。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●参照
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
5年ぶりの松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2013年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
松風鉱一トリオ@Lindenbaum(2008年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
松風鉱一『Good Nature』(1981年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
森山威男『SMILE』、『Live at LOVELY』 
反対側の新宿ピットイン
くにおんジャズ、鳥飼否宇『密林』