北谷のギャラリープルミエで、「紅型×写真二人展 金城宏次・豊里友行」を観る。
夏のような暑さで、国道58号線のバス停を降りてすぐかと思い、嘉手納基地のフェンス沿いに歩いていったのだが実は結構遠くて(笑)、着いた時には顔が真っ赤になっていた。
豊里友行さんの写真は、『オキナワンブルー』に収録されているものが展示されている。もちろん辺野古も普天間も高江もある。また沖縄戦の発掘された遺品もある。いわゆる「集団自決」の生き証人の方々の写真もある。どのような形であろうと大変な重みを持っており、視るたびに息を一瞬止めざるを得ない。それはたとえば辺野古での阻止行動に身をもって参加し記録した、豊里さんゆえの作品に違いない。
金城さんの紅型は、皆で感嘆しながら笑ってしまうほど技巧を凝らしたものだった。豊里さんの写真をもとにした紅型もあった。淡い色と強い日射の影とが、またフェンスそのものとそれが米軍の看板に射した影とが混ざっており、訊いてみると、型紙を2種類使ったのだという。また、何枚もコラージュのように組み合わせた大きな作品もあった。
金城さんは、照屋勇賢さんが作品に紅型を使う際に制作を担当している。この驚くほどのモダンさと技巧、納得である。(ところで、2007年に大浦湾を見渡せるジュゴンの見える丘に同行したときに、照屋さんも豊里さんもいたのだが、豊里さんはそのことを覚えていなかった。)
ようやく汗が引いて、お茶をいただきながら、豊里さんと、沖縄における写真活動を巡る議論、写真と政治との関連、写真集を出すということ、今回の比嘉良治さんの作品『砂浜にのこり、歌にきざまれた人びとの夢・沖縄』、今後の作品などについて四方山話。
会場には写真家の岡本尚文さんがいらしていて、写真集『沖縄02 アメリカの夜 A NIGHT IN AMERICA』を見せていただいた(最近恵比寿のギャラリーで個展が開かれていて、残念ながら行けなかったものだ)。夜の沖縄がクリアに写し込まれていて、確かにそれはご本人曰くの「異界」なのだった。(タイトルはトリュフォーの映画ではなく、浅川マキのアルバムから取ったのだという。)
また、帰ろうとすると、ちょうど平敷兼七さんの娘さん(平敷兼七ギャラリーでお会いしたばかり)が展示を観にきたところだった。なるほど、このような交流があるのだとすると、ヤマトでみる沖縄写真とはまったく理解も実感も違うのだろうなと羨ましく感じた。
●参照
豊里友行『オキナワンブルー』(2015年)
『越境広場』1号(2015年)(豊里友行氏と石川竜一氏との対談)
『LP』の豊里友行特集(2012年)
豊里友行『沖縄1999-2010 改訂増版』(2010年)
豊里友行『沖縄1999-2010』、比嘉康雄、東松照明(2010年)
豊里友行『彫刻家 金城実の世界』、『ちゃーすが!? 沖縄』(2010年)