那覇の寓話には2005年にいちどだけ行ったきりで、そのときには屋良文雄さんもご健在だった(屋良文雄さんが亡くなった)。今年になって、建物の老朽化に伴い、松山のほうに移転したと読んで、実に11年ぶりに足を運んだ。
お店はなかなかお洒落なつくりで、旧店を意識したのだという。バーカウンターもそのまま持ってきている。入るや否や、屋良文雄さんの奥様や息子さんの屋良朝秋さんがフレンドリーに接してくれて、すぐにリラックスしてしまう。他のお客さんも含めて、とても居心地のいい場所なのだ。
屋良朝秋 (p)
上原淳 (b)
大城涼子 (cl)
演奏は曜日によって異なるようで、この日はその屋良朝秋さんのピアノに、ベースとクラリネット。「Tennessee Waltz」、「The Girl from Ipanema」、「Softly, as in a Morning Sunrise」、「Misty」など馴染み深い曲の他に、なんと「It's a Sin to Tell a Lie」なんていうオールド・ナンバーも演奏した。そして「これしか歌えないんだよ」というお客さんが、カンペを片手に「Summertime」を歌ったりもした。
屋良さんのピアノは「ゴキゲンなスイング」と言いたくなるような演奏。上原さんのベースも大城さんのクラリネットもあたたかい音色で、実に多幸感あふれる時間だった。好きな場所になってしまった。
壁には、なんと、亡くなったばかりの真喜志勉(TOM MAX)の作品がいくつも飾ってある。なんでも屋良文雄さんと親しく、演奏している横で作品を創作することもあったそうだ。作品の中に屋良さんのレコードジャケットが入れてあったりもする。欲しい!
真喜志勉さんは、また、山下洋輔とも親交があって(『越境広場』1号の真喜志勉追悼特集には山下さんも寄稿している)、その縁で、今度(2016/11/1)に沖縄県立博物館・美術館でも追悼演奏を行う(>> リンク)。そしてそのあとには、この寓話でセッションをやるのだという。ああ、また那覇に行きたい。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4、XF35mmF1.4
●参照
屋良文雄さんが亡くなった(2010年)
田代俊一郎『沖縄ジャズロード』(2015年)